「100」この数字は何を意味する数字でしょう。実は、人が亡くなった後に行う、手続きの数は「100」近くあると言われています。
死後の手続きは、初めて行う手続きが多いうえ、期限のあるものも多く、放置してしまえば、損失がでるものもあります。親族が亡くなり、深い悲しみにある中、煩雑な手続きを行うのは、大変なことです。
そこで元司法書士、シニアライフマネージャーの筆者が、「親が亡くなってしまったケース」を想定し、死後の手続きの順番、手続き窓口、必要書類や優先順位について解説します。
もし筆者が相続人だったなら、どの手続きを専門家に依頼するかについても紹介します。
死亡後の手続き
死亡後の手続きは、無計画に進めると、途中で書類が足らずにストップしてしまったり、何度も役所に足を運ぶことになります。
手続きの窓口は、役所関係が多く、平日の限られた時間で手続きをしなくてはならないため、順序を守り、効率的に進めて行くことが重要です。
スムーズに手続きが進むよう、実際の流れに沿って解説をします。
親が亡くなって初七日(一週間目)の手続き
親が亡くなった後、1週間目は、葬儀関係の手続きを中心に行います。葬儀社のリードで進んでいくため、いかに信用できる葬儀社を選定できるかが重要な鍵になります。
役所での手続きは、主に死後翌週以降に行うケースが多いです。
親が亡くなった日の当日
自分ひとりで行わず、周りの方に協力してもらうことが重要です。
家族や親族への連絡
医師からの死亡の宣告を受けた後は、できるだけ早いタイミングで家族や親族、生前に縁 の深かった方への連絡を電話で入れます。訃報連絡は、どの時間帯であっても非常識にはなりません。
連絡を入れる親族の範囲は、第3親等の人までを目安とします。葬儀日程が未定の場合も、後日詳細をお知らせする旨を伝えれば大丈夫です。
死亡診断書の受取り
病院で亡くなった場合は死亡診断書、自宅で亡くなった場合や事故死の場合は、警察から、死体検案書を受け取ります。死亡診断書等はその後の手続きで必要になるため、5枚程度コピーを用意しましょう。
死亡診断書を受け取る際に、費用の精算も行います。
遺体を搬送する
病院で亡くなると、ご遺体は病室から遺体安置所へ移動されます。その間に、自宅や火葬場、葬儀社など、遺体を安置する場所を決め、搬送の手配を行います。
都心部では、自宅面積の関係や、周囲への配慮のため、葬儀ホテルを利用するケースも増えてきています。
葬儀社を決めていた場合は、搬送を依頼します。葬儀社が決まっていない場合は、病院から紹介される葬儀社に、搬送のみを依頼することも可能です。
また、慌てて葬儀社を決めてしまい、後々、高額な請求がきてトラブルとなるケースも発生しています。大変な状況ではありますが、契約内容やかかる費用の確認もしっかりとすることが大切です。
自分ひとりで決断せず、親族に相談することも念頭に置きましょう。
また、生前にエンディングノートなどで葬儀についての希望を書かれている場合もありますので、そのようなものが遺されていないかも併せて確認しましょう。
葬儀社を決める
葬儀を行う葬儀社を決めます。地域の葬儀社、ネットで探す葬儀社や、紹介された葬儀社、いずれにしても数社から見積もりを取った上で決めましょう。
葬儀社との打合せ
葬儀社を決定したら、お通夜と葬儀の打ち合わせを行います。できる限り、親族などにも打ち合わせに立ち会ってもらうと客観的な判断ができます。
葬儀社との打ち合わせの前に事後のトラブルを防ぐため、次のことを大まかにでも決めておくとよいでしょう。
- 葬儀の形式と規模
- 予算
- 参列者の範囲
- 葬儀費用の捻出先
訃報連絡(2報目)
葬儀の日程が決まれば、第1報で連絡をした親族等に詳細を連絡します。働いている人は、会社に忌引休暇の連絡をします。
菩提寺が有る場合には連絡を入れる
親が亡くなった旨の連絡を入れ、お通夜、葬式の法要を依頼しましょう。菩提寺が無い場合は、葬儀社がお坊さんを紹介してくれるので相談をしましょう。
2日目:死亡届の提出、火葬許可証の取得、通夜
亡くなった翌日に通夜をするケースが多いですが、1日後ろにずらすケースもあります。
死亡届を提出する
死亡届は、死亡診断書と1枚の用紙で左右一対となっています。原本を提出してしまうため、必ずコピーを5枚程度とってから届出をしましょう。
- 窓口:亡くなった親の本籍地・亡くなった場所・届出人の住所地いずれかの市区町村役場
(亡くなった親の住所地の市区町村役場は窓口にはならないため注意が必要です) - 必要書類等:死亡診断書(死亡検案書)、申請する人の印鑑
- 期限:死亡の事実を知った日から7日以内
(国外で亡くなった場合、死亡の知らせを受けた日から3ヶ月)
埋火葬許可申請書の提出と許可証の受取り
埋火葬許可申請書は、死亡届と同時に提出します。埋火葬許可申請書には火葬する場所を記入するため、あらかじめ火葬場を決めて手続きをしましょう。
埋火葬許可証を提出すると、その場で火葬許可証の交付がされます。火葬場で許可証を提出し、火葬が終了すると、火葬済みの印がされ「埋葬許可証」として返却されます。
- 期限:埋火葬許可証、申請する人の印鑑
- 窓口:死亡届を提出する市区町村役場
- 窓口:死亡の事実を知った日から7日以内
(国外で亡くなった場合、死亡の知らせを受けた日から3ヶ月)
死亡届が提出されると、1週間程度で戸籍に反映されます。本籍地以外の役所に、届け出をした場合は、1〜2週間前後で戸籍に反映されます。
通夜
通夜の前には、故人を棺に納めます。棺には、故人の愛用品などを一緒に納めます。
通夜の進行は葬儀社がリードをしてくれるため、事前の打ち合わせをしっかりと行いお任せしましょう。喪主の挨拶、参列者の出迎え・お見送りが主に行うことです。
筆者の祖母のお通夜では、通夜振る舞いを行い、参列者と共に飲食をしました。このように、地域の風習がある場合でも、葬儀社のリードでお任せをすることができます。
3日目:葬儀・火葬
葬儀
葬儀は故人の成仏を祈るなど、供養の儀式です。告別式の前に行い、遺族、親族、親しい 知人が参列します。葬儀のあとに、続けて告別式を行うことが多いです。
告別式とは、故人に別れを告げる式のことです。故人の友人、知人も参加します。告別式は社会的な儀式であり、葬儀は宗教的な儀式になります。
出棺/火葬
葬儀、告別が終了すると棺に蓋をし、喪主から順番に釘打ちをします。寝台車に乗せ、火葬場へと搬送をします。
火葬場では納めの式を行い、最後のお別れをします。火葬は1時間程度かかります。
火葬済証明書の受取
火葬が終わると、埋火葬許可証に印を押し「埋葬許可証」として返却されます。納骨の時に必要になるため、大切に保管しましょう。
初七日法要
亡くなってから7日目に行うのが初七日法要です。しかし、最近では葬儀の際に同時に行う事が一般的です。
4日目~1週間目:葬儀費用の精算、挨拶まわり
葬儀費用の精算
葬儀費用の精算をします。この時に重要なことは、葬儀費用の領収書をなくさないよう大切に保管することです。
後ほど解説しますが、埋葬費・葬祭費の請求の際に、この領収書が必要なのです。遺産の洗い出しの際にも必要ですので、紛失には注意しましょう。
挨拶まわり、ご報告通知の送付
葬儀の後、1週間以内を目安に挨拶まわりをします。隣近所でお世話になった方、故人の勤務先や、世話役の方へ喪主が行います。ただし、無理のない範囲で行いましょう。
故人との親交があった方で、葬儀のお知らせを送らなかった方には、報告の通知を送ります。同時に、弔辞を読んでくれた方にも早めにお礼状を送ります。
親が亡くなった翌週に行う手続き
その窓口でできるものは、同日にまとめて行うことがポイントです。
死亡後に役所等で行う手続き
ここからは、故人の最後の住所地を管轄する市区町村役場や、年金事務所など公的な機関で行う手続きに入ります。同じ場所でできる手続きは、まとめて同日に行えるように順序立てて解説します。
世帯主の変更届提出
世帯主が死亡した場合、世帯主の変更届を提出します。
世帯主となれるのは15歳以上の人のため、残った世帯に15歳以上の人が2人以上の場合のみ提出が必要です。
一方で、15歳以上の人が1名のみの場合は、自動でその人が世帯主に変更されるため、提出は不要です。
- 窓口:故人の住所地の市区町村役場
- 必要書類:住民異動届、届出人の本人確認書類、印鑑
- 期限:変更した日(亡くなった日)から14日以内
健康保険の資格喪失届出(国民健康保険に加入していた場合)
故人が国民健康保険の被保険者だった場合には、国民健康保険資格喪失届を提出します。故人が世帯主だった場合は、世帯主変更により新たな保険証が発行されます。
この手続きと同時に、次に説明する葬儀費の請求手続きも行います。
- 窓口:故人の住所地の市区町村役場
- 必要書類:故人の保険証、死亡を証明するもの(死亡診断書コピーや除籍謄本)、印鑑、届出人の本人確認書類、国民健康保険に加入した世帯主が亡くなった場合は世帯全員の保険証
- 期限:14日以内
葬祭費の請求手続き(故人が国民健康保険に加入していた場合)
故人が国民健康保険に加入していた場合は、葬儀費が支給されます。金額は、自治体により異なり、3〜7万円の範囲で、実際に葬儀に費やした費用が払われます。
- 窓口:故人の住所地の市区町村役場
- 必要書類:葬儀の領収書、葬儀を行った人の口座・マイナンバーのわかるもの、印鑑、葬儀を行った人の本人確認書類
- 期限:葬儀を行った日の翌日から2年以内
健康保険の資格喪失届出(サラリーマンなど被用者保険に加入していた場合)
会社員などが加入する健康保険(協会けんぽ)の場合や、公務員などが加入する共済組合の被保険者だった場合には、手続きは勤務先が行いますので、保険証を勤務先に返却します。
注意点として、故人の健康保険の扶養に入っていた場合です。扶養に入っていた遺族は、死亡日翌日に健康保険の資格を喪失してしまうため、次の対応をします。
- 国民健康保険に加入する
- 他の会社員である家族の扶養に入る
- 自ら働き、被用者保険(社会保険)に入る
協会けんぽに加入していた被保険者が死亡した場合は、埋葬費が請求できます。勤務先に保険証を返却する際に、埋葬料の請求手続きは会社側で手配するのか、遺族がするのかを確認しましょう。
埋葬費の請求手続き
故人が被用者保険に加入していた場合(サラリーマンだった場合など)は、埋葬費の請求ができます。50,000円の埋葬費が支給されますので、忘れずに請求します。
申請書には、事業主から、死亡したことの証明を受ける必要があります。前述したとおり、会社側で手続きをしてくれることもあるため、確認をしましょう。
- 窓口:全国健康保険協会
- 必要書類:健康保険埋葬料支給申請書、事業主から死亡の事実の証明が受けられない場合は、火葬埋葬許可証のコピーもしくは死亡診断書 故人に家族がいない場合は葬儀を実施したことがわかる領収書等
- 期限:死亡日の翌日から2年以内
後期高齢者医療保険の資格喪失手続き
75歳以上の人、65歳〜75歳未満の一定の障害のある方が加入している後期高齢者医療保険の、被保険者がなくなった場合に手続きをします。
資格喪失届の提出と、保険証を返却しますが、役所によって、死亡届提出により自動的に処理をされることも。その場合でも、保険証の返却は必要になります。
- 窓口:故人の住所地の市区町村役場
- 必要書類:後期高齢者医療被保険者資格喪失届、後期高齢者医療被保険者証、死亡を証明するもの(死亡診断書コピーや除籍謄本)、印鑑、届出人の本人確認書類
- 期限:死亡日から14日以内
介護保険資格の手続き
国民健康保険、後期高齢者医療保険と同時に介護保険資格喪失の手続きをします。ただし、死亡届を提出すると、自動的に処理される役所もあります。
介護保険料は精算され、不足分は支払いが必要です。多く納めていた場合は、遺族に返還されます。
- 窓口:故人の住所地の市区町村役場
- 必要書類:介護保険資格喪失届出、介護保険被保険者証
- 期限:死亡日から14日以内
年金の相続手続
併せて、未払年金の請求もしたいところですが、未払年金の請求には、死亡の事実の記載がある戸籍が必要です。
特に厚生年金の支給停止手続きは、死亡後10日以内という期限があるため、死亡の事実が戸籍に反映されるのを(1週間〜2週間)、待っていると間に合いません。このタイミングでは、年金受給停止の手続きのみ行います。
年金の受給停止手続き(受給資格権者死亡届の提出先)
故人の受給状況 | 例 | 窓口 | 手続き期限 |
---|---|---|---|
国民年金のみ | 老齢基礎年金 障害基礎年金 遺族基礎年金など | 故人の住所地の役所 (国民年金課) | 死亡後14日以内 |
厚生年金がある | 老齢厚生年金 遺族厚生年金など | 最寄りの年金事務所 街角の年金相談センター | 死亡後10日以内 |
共済年金がある | 老齢共済年金 遺族共済年金など | 各共済組合 | 各共済に要確認 |
国民年金の受給停止手続き
国民年金の受給者が死亡したときは、14日以内に手続きをします。役所で手続きができるのは、国民年金のみ受給していた場合に限られます。
- 窓口:故人の住所地の市区町村役場
- 必要書類:年金証書、故人の死亡を証明する書類(死亡診断書のコピー)
- 期限:死亡日から14日以内
厚生年金の受給停止手続き
故人が厚生年金を受給していた場合は、死亡後10日以内に手続きをします。ただし、日本年金機構に、故人のマイナンバーが収録されている場合は手続き不要です。
- 窓口:最寄りの年金事務所、街角の年金相談センター
- 必要書類:年金証書、死亡診断書のコピー
- 期限:死亡日から10日以内
死亡保険金の請求手続き
生命保険の死亡保険金の請求手続きをします。請求期限は死亡日より3年ですが、忘れてしまわぬよう、早めに請求をしてしまいましょう。
保険証書に記載されている連絡先に、保険金受取人が連絡をします。請求手続きから、実際に保険金が支払われるまでは、通常は3ヶ月程度です。
- 窓口:保険会社
- 必要書類:保険証書、死亡診断書(死体検案書)のコピー、受取人の本人確認書類、印鑑
- 期限:死亡日より3年以内
重要!死亡届提出後10~14日経過後、戸籍一式と住民票等を取得
死亡届の提出から、10〜14日経過後、忘れることなく請求をおこないましょう。
相続人の戸籍を取得
このあと、故人の戸籍等を取得しますが、その際には、請求者が故人の相続人である証明が必要になります。
具体的には、相続人の現在の戸籍謄本が必要になります。
- 窓口:相続人の本籍地の市区町村役場
- 必要書類:本人確認書類
- 期限:故人の亡くなった日以降
故人の住民票の除票を取得
死亡届の提出後10~14日経過後に、故人の住民票の除票を取得します。取得した住民票の除票には、死亡の事実が記載されます。
死亡の事実が記載されるまでの期間は、時期や状況によって誤差があるため、取得前に電話で問い合わせをしてから請求すると、間違いがありません。
- 窓口:故人の住所地の市区町村役場
- 必要書類:故人の相続人であることを証明できる請求者の戸籍謄本
故人の出生から亡くなった時までの戸籍を請求
遺産相続や銀行の手続きで使う戸籍は、故人の生まれた時点から亡くなる時点までの、すべての連続した戸籍(除籍、改正原戸籍)です。
本籍地を途中で変えている場合などは、戸籍を読み解き、数カ所の役所で取得する必要があり、時間と労力がかかります。戸籍の取得は、専門家に任せることが可能です。司法書士や行政書士に依頼をしましょう。
- 窓口:故人の住所地の市区町村役場
- 必要書類:戸籍の請求申請書(窓口やホームページから取得)、※請求者の戸籍謄本、求者の本人確認書類(郵送請求の場合はコピー)、取得費用
- 死亡届提出後10~14日経過後すみやかに
※請求には故人の相続人であることを証明するため、請求者の戸籍謄本が必要です。ただし、故人と本籍地を管轄する役所が同じであれば不要です。
戸籍取得のポイント
戸籍等の取得は、意外に時間も労力もかかります。二度手間にならぬよう、以下のポイントを押さえてください。
- 役所に戸籍等を請求する際は、「相続手続きで使うため、取れる戸籍等は全部取得したい」旨を伝える。
- 今後行う必要のある、銀行口座の名義変更や解約、証券会社での手続き、法務局での不動産名義変更等には、故人の出生から死亡までの、戸籍の原本(戸籍の束)が必要です。不足することがないように、数セット余裕をもって取得する、もしくは次に説明する法定相続情報を取得する。
- 遠方の役所での請求には、郵送での請求も可能です。その場合は、レターパックの青(速達扱い)を利用すると、早期に手元に届きます。
- 故人の本籍地が不明の場合は、故人の本籍地入りの住民票の除票を取得しましょう。本籍地が判明します。
法定相続情報取得がおすすめ
今後の相続手続きには、様々な場面で、故人の連続した戸籍等の原本を提出します。本籍地を途中で変更していた場合などは、10通以上の戸籍を取得することもあり、束になります。
その戸籍の束を、数セット用意するのは、費用がかかりますし、管理も大変です。筆者が、声を大にしておすすめしたいのは、法定相続情報を作成してしまうことです。
2017年から出来た制度ですが、筆者はこの制度をフル活用し、お客様に提供をしていました。法定相続情報があると、預金の払出しや、株式の名義変更など、ご自身で手続きするハードルが下がります。
平日の時間が取れない方や、戸籍を読み解くのが面倒な方、相続人が多い、不動産が遺産にある、預貯金口座が複数ある場合は、この部分だけでも、司法書士や弁護士、行政書士に依頼しましょう。
相続人の確定までしてもらえるため、今後の手続きが、格段に楽になると思います。筆者が、元司法書士でなかったとしたら、戸籍の取得から法定相続情報の作成を専門家に頼むでしょう。
法定相続情報とは
法定相続情報は、法務局(登記所)にて戸籍等の必要な書類を提出し、登記官が内容を確認した上で、法定相続人が誰であるのか証明する制度です。
法定相続情報の元になる図を作成するというハードルはありますが、そのメリットは大きいです。
- 法定相続情報があれば、銀行や証券会社の手続き、役所での手続きなどで、戸籍の束の提出が不要になる。
- 出生から死亡までの戸籍等を数セット用意しても、手続き内容によっては足らなくなり、二度手間になることがある。法定相続情報は何通でも無料で取得できる。
- 書類の管理が楽になる。
- 窓口:次のいずれかの場所を管轄する法務局
- 故人の最後の本籍地
- 故人の最後の住所地
- 申出人の住所地
- 故人名義の不動産の所在地
- 必要書類等:※法定相続情報一覧図
- 故人の出生~死亡までの連続した全ての戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍
- 故人の住民票の除票または戸籍の附票の除票
- 相続人全員の現在の戸籍謄本(故人が亡くなった日以降に発行されたもの)
- 申出人の住所・氏名を確認できる公的書類(運転免許証コピー・マイナンバーカードのコピー・住民票)
- 相続人全員の住民票(必須ではないですが後々の手続きが簡略化できます)
※法定相続情報一覧図は法務局のホームページに各種ひな形が用意されています。ご自身のケースにあったひな形を使い作成をしましょう。
死亡の記載のある戸籍等を取得後に行う手続き
高額医療費の申請
高額医療費を負担し、払い戻しを受ける前になくなった場合は、法定相続人が請求をすれば払い戻しが受けられます。加入をしていた健康保険の種類により、窓口が異なりますのでご注意ください。
申請から払い戻しまで、3ヶ月間程度かかるため、死亡の記載のある戸籍が取得でき次第手続きをします。
- 窓口:故人が、国民健康保険が国保に加入されていた場合は、市区町村役場
故人が、社保(協会けんぽ等)に加入されていた場合は、全国健康保険協会 - 高額医療費支給申請書、医療費の領収書、故人との関係のわかる相続人の戸籍謄本と故人の死亡の記載がある戸籍謄本または除籍謄本、遺言書がある場合は遺言書
※戸籍謄本、除籍謄本の代わりに、法務局発行の法定相続情報でも代用可能。
※ケースバイケースで必要書類がかわります、詳しくは窓口にご確認をお願いします。 - 期限:2年以内
年金の未支給年金の請求手続き
年金を受給していた人が、亡くなった場合、最後の受給月から亡くなった日までの年金を受け取ることができます。
ここでは、公的年金を受給していたケースを解説します。年金を受け取れる人は、故人が亡くなった当時、故人と生計を同じくしていた相続人です。
- 配偶者
- 子供
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
- ①~⑥以外の3親等内の親族
出典:日本年金機構 年金を受けている方が亡くなったとき
年金の受給停止手続きと同様に、未支給年金の請求手続きも、受給していた年金の種類により、請求する窓口が異なります。
受給していた年金 | 請求する窓口 | 期限 |
---|---|---|
障害基礎年金 遺族基礎年金 寡婦年金 | 故人の住所地の市区町村役場 年金事務所 | 年金受給権者の年金支払日の翌月より5年以内 |
老齢基礎年金 老齢厚生年金 旧法国民年金 旧法厚生年金 | 年金事務所 | |
退職共済年金 障害共済年金 遺族共済年金 | 各共済組合 |
- 必要書類:故人の年金証書、相続人の預金通帳、故人の住民票の除票、相続人の住民票、相続人の戸籍謄本、被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本または除籍謄本または法定相続情報、請求者の本人確認書類
翌週以降順次進めていく遺産相続手続き
期限が決まっている重要な手続きも多いため、事前に流れをつかんでおきましょう。
相続人調査
取得した全ての戸籍を読み解き、誰が相続人になるのかを確認します。親族が全て相続人になるわけではなく、民法で相続人の範囲と相続割合が定められています。詳しくは下記の記事の内容を確認してください。
法定相続情報の取得を専門家に依頼した場合は、相続人の確定もしてもらえます。手間のかかる部分だけお任せすることも検討しましょう。
遺言書を探す
今後の相続手続きを行っていく上で、遺言書の有無は大きな影響を与えます。遺言が遺されている場合は、原則として他の分割方法より優先されます。
遺言書を探す方法には、次のような方法があります。
- 自宅で保管しているケースが最も多いです。タンスや本棚、仏壇や金庫などに保管されていることが多いようです。
- 貸金庫に保管されているケースもあります。取引のあった銀行に問い合わせをしてみましょう。信託銀行で、遺言書の保管を任せているケースもあります。
- 公証役場に、公正証書遺言が、保管されているケースもあります。全国どこの公証役場でも「遺言書検索システム」で公正証書遺言の保管の有無を、確認してもらうことができます。
- 法務局で遺言書を保管する制度もあります。全国どこの法務局でも「遺言書保管事実証明書」を請求し、保管の有無を確認できます。
相続財産の調査
次に相続財産の調査を行っていきます。相続財産となるものは、金銭的価値のあるもの全てです。
預貯金や、不動産などのプラスの財産だけでなく、借金や未払の税金などはマイナスの財産として、相続の対象になります。相続財産の調査は地道な作業が必要で、1日で終わるようなものではありません。
次のような方法で、相続財産を調査していきましょう。
- 自宅に保管されている、通帳、保険証書、契約書関係を探し出す。ネットバンクは通帳がないため、故人の携帯電話やコンピューターを確認する。
- 携帯のアプリから、口座を開いている銀行、証券会社が判明することもあります。
- 不動産は権利証や登記識別情報を探す。私道部分などは、見逃しやすいので注意。市町村役場、都税事務所で名寄帳を取得すると、同市区町村内にある故人の不動産を全て確認できます。
- 上場株式や投資信託、国債などを保有していた場合は、証券会社からの郵便物、メールや 株主総会の通知などで判明します。また、株式会社証券保管振替機構へ、名寄せの請求をすれば、たとえ保有残高がなくとも、口座開設先の証券会社が判明します。
株式会社株式保管振替機構 - 借金などのマイナスの財産は、故人の死後しばらく経ってから、郵便物で届くこともあります。郵便物の確認も欠かさずしましょう。更に信用情報を取得すれば、一般的な借金の履歴は取れることが多いです。ただし、個人的な借金は、信用情報からは判明しません。
CIC 相続人による開示請求
日本信用情報機構 相続人による開示請求
日本信用情報機構 相続人による開示請求
相続放棄と限定承認を検討
相続財産の調査の結果、マイナスの財産がプラスの財産を上回る場合には、相続放棄、相続財産の限定承認を検討しましょう。
どちらもは、相続開始を知った日より3ヶ月以内に、家庭裁判所に申述をする必要があります。この3ヶ月に間に合わせるためにも、早い段階での相続財産の調査が必要です。
また、限定承認は、相続人全員で揃って行わなくてはなりません。相続放棄の手続きは、他の相続人に悪影響がでることもありますので、事前に司法書士、弁護士に相談をしましょう。
- 窓口:故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
- 必要書類等:
- 故人の死亡の記載のある戸籍謄本または除籍謄本
- 故人の住民票除票
- 相続放棄する人に相続権があることがわかる戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍相続放棄をする場合、相続放棄申述書、限定承認をする場合は、限定承認の申述書
※その他、ケースによって必要な書類が発生する場合があります。
- 期限:相続があったことを知った日より3ヶ月
遺言書の検認手続き
発見した遺言書が「自筆証書遺言」の場合には、開封の前に家庭裁判所での検認手続きをします。検認前に、開封をしてしまえば、5万円以下の過料が処されます。
原則は、開封されたことだけをもって無効にはなりませんが、開封されていたことが理由のひとつとなり、自筆証書遺言が無効となってしまった判決もあるため注意してください。
また、以下の遺言の場合は、家庭裁判所での検認手続きは不要です。
- 法務局の自筆証書遺言保管制度を利用し、法務局で保管されていた場合
- 公正証書遺言の場合
- 窓口:遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
- 必要書類等:
- 申立書
- 遺言書(封書の場合は封を開けない)
- 遺言者の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍
- 相続人の現在の戸籍謄本
※状況により、他にも戸籍謄本等が必要になる場合があります。
- 期限:遺言を発見した後遅滞なく
遺産分割協議を行う
遺言書がない場合には、法定相続人全員で、遺産を誰にどの割合で分配するかをきめます。これが遺産分割協議です。1人でも参加をしないと、遺産分割協議は無効となります。
遺産分割の内容が合意できれば、遺産分割協議書を作成します。
不動産の名義変更
相続財産に不動産が含まれていた場合、遺言書があれば遺言書の内容に沿って、遺産分割協議を行った場合は、協議結果に基づいて、故人から不動産を承継する相続人(または受遺者)への相続登記を申請します。
売却予定の不動産でも、故人名義のままでは売却のための所有権移転登記ができません。必ず、相続人名義に変える必要があります。
なお、2024年4月より、相続登記が義務化されます。正当な理由がないのに、相続開始を知ってから、3年以内に相続登記をしなかった場合には、10万円以下の過料が処される可能性があるため注意しましょう。
相続登記は、自分で申請することもできます。ただし、平日に何度か法務局に出向く必要があります。相続人が多い場合、兄弟が相続人の場合などは手続きが複雑になりますので、専門家に任せましょう。
登記の専門家は、司法書士です。戸籍の取得もお任せできるので、戸籍謄本を集める前の早いタイミングで相談をするのがおすすめです。
遺族年金・死亡一時金の請求手続き
一家の大黒柱を失ってしまった相続人が、一定の要件を満たした場合には遺族年金、死亡一時金を受けられる可能性があります。
請求をしないと遺族年金は5年で、死亡一時金は2年で時効となります。期間内に忘れずに手続きを行いましょう。
なお、加入していた年金の種類や納付状況により、必要な手続きや書類が異なるため、事前に年金事務所に相談をしてください。
- 窓口:年金事務所や市区町村役場
- 必要書類等:
- 故人の死亡の記載のある戸籍謄本または除籍謄本と相続人の関係の分かる戸籍謄本
- または、法定相続情報
- 故人の住民票の除票
- 請求者の世帯全員の住民票
- 請求者とその子供のマイナンバーのわかるもの
- 請求者の預金口座番号のわかるもの
- 請求者の本人確認書類
- 印鑑等
翌週以降に順次行う死後の手続き
死後の手続きは、細かいものを含めると、まだ行うことが沢山あります。必要書類が不要な手続きもあるので、空いた時間をみつけて行きましょう。
注意点として、相続放棄を検討している相続人は、下記の手続きは、行わないでください。相続放棄が、できなくなる可能性があります。相続の選択方式については、下記の記事を参考にしてください。
手続き内容 | 必要書類等 | 窓口 | |
---|---|---|---|
電気 | 契約者の変更や利用停止 | お客様番号のわかるもの | 電力会社への電話またはホームページ |
ガス | 契約者の変更や利用停止 | お客様番号のわかるもの | ガス会社への電話またはホームページ |
水道 | 契約者の変更や利用停止 | お客様番号のわかるもの | 水道局お客様センター |
株式 | 名義変更(株式の移管) | 故人の出生から死亡までの戸籍一式(又は法定相続情報) 相続人の現在の戸籍謄本 遺言書または遺産分割協議書 相続人の印鑑証明書 相続人の本人確認書類 | 取引店への電話またはホームページ |
預貯金 | 名義変更・払戻し | 故人の出生から死亡までの戸籍一式(又は法定相続情報) 相続人の現在の戸籍謄本 遺言書または遺産分割協議書 相続人全員の印鑑証明書 相続人の本人確認書類 | 取引先の金融機関 |
免許証 | 免許更新案内の停止 ※免許証の返納義務はありません。 | 免許証 死亡の記載のある戸籍謄本や除籍謄本または死亡診断書のコピー 申請者の本人確認書類 | 警察署 運転免許更新センター |
自動車 | 名義変更 | 車検証 死亡の記載のある戸籍謄本または除籍謄本(又は法定相続情報) 相続人の現在の戸籍謄本 遺言書または遺産分割協議書 新所有者の印鑑証明書と実印 新使用者の住民票 車庫証明書 | 陸運局 |
携帯電話 (NTTドコモ) | 承継または解約 | 【承継の場合】 死亡の記載のある戸籍謄本または除籍謄本(又は法定相続情報) 相続人の現在の戸籍謄本 新契約者・新使用者の本人確認書類 【解約の場合】 死亡の事実のわかる書類 ドコモUIMカード ドコモeSIMカード | ドコモショップ |
インターネット 回線 | 承継または解約 | 【承継の場合】 死亡の記載のある戸籍謄本または除籍謄本(又は法定相続情報) 承継者の本人確認書類 承継者が未成年の場合は保護者の本人確認書類 | カスタマーセンターへ電話 |
NHK | 名義変更または解約 | 【解約の場合】 死亡の記載のある戸籍謄本または除籍謄本(又は法定相続情報) 【名義変更の場合】 特になし | 電話(NHKふれあいセンター)またはホームページ |
クレジット カード | 解約 | カード会社による | 電話 |
上記の他にも、AmazonプライムやNetflix (ネットフリックス)などのサブスクリプション契約、賃貸借契約の解除等は忘れずに手続きをしましょう。
税金関係の手続き
相続税に強い税理士に依頼をしましょう。ここでは概要を解説します。
所得税の申告
故人が生前、不動産業などで収入があった場合には、相続人が代わって準確定申告をします。税金についての手続きは、今まで行ったことがある場合は、ご自身でされても良いでしょう。
ただし、準確定申告には申告期限がありますので、ご自身で申告される場合にも、申告期限を守り申告します。
- 窓口:税務署
- 専門家:税理士
- 期限:相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月を経過した日の前日
相続税の申告
相続財産が基礎控除額を超える場合には、相続税の申告と納税をします。
関連記事:相続税とは?(準備中)
相続税がかからない場合は、申告自体不要です。相続税の計算には、様々な控除・特例があるため、相続税がかかりそうな方は、早めに税理士に相談しましょう。
- 窓口:税務署
- 専門家:税理士
- 期限:相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内
相続税の申告については、下記の記事でも詳しく解説していますので、併せてご確認ください。
期限のある重要手続き、死後の手続きには優先順位がある
すべて期限がある手続きで、上から順に期限が短い手続きになります。
相続放棄と相続の限定承認【3ヶ月】
限定承認は相続人全員で行う必要がある。
自己のために相続開始を知った時から3ヶ月以内
準確定申告【4ヶ月】
故人が個人事業主として確定申告をしていた方、不動産収入があった、複数の会社から給与を得ていた等。
相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内
雇用保険の失業給付【6ヶ月】
故人が雇用保険の失業給付を受けていた場合には、生計を同じくしていた遺族は、亡くなった日までの失業給付を受給できます。
教育訓練給付や高年齢雇用継続給付、育児休業給付を受けていた人が亡くなった場合も受給可能なため、忘れずに手続きしましょう。
死亡した日の翌日から6ヶ月
相続税の申告【10ヶ月以内】
相続税が発生する場合には、申告・納税が必要です。
相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内
遺留分侵害額請求権【1年・10年】
遺留分侵害額請求権には、2つの期限があります。
- 相続の開始と遺留分があることを知った時から1年
- 相続の開始と遺留分があることを知らなくても、相続開始から10年を経過したとき
国民年金の死亡一時金【2年】
死亡日の翌日から2年
葬祭費・埋葬費の支給申請【2年】
死亡した翌日から2年
死亡保険金の請求手続【3年・5年】
死亡保険金は、請求をしないでいると請求権が消滅してしまうので、早めに請求をしましょう。
請求書類が生命会社に到着した日の翌日から5営業日以内に原則死亡保険金は支払われます。
(参考:住友生命)
期限:支払い事由の発生日(亡くなった日)から3年(かんぽ生命は亡くなった日から5年)
不動産の相続登記【3年】
2024年4月から不動産の相続登記が義務化されます。
相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内
(義務違反で10万円以下の過料が科される可能性もあり)
遺族基礎年金・遺族厚生年金の請求【5年】
死亡した日の翌日から5年
まとめ
死後の手続きを、順序立てて解説しました。
各手続きは、相続のパターンにより、必要書類が増えることもあります。それぞれの窓口に電話を入れ、確認をしながら進めていきましょう。
死後の手続きは役所が関係することが多いため、平日の開庁時間に手続きをしなくてはなりません。役所での手続きは予想外に、時間を取られることが多いです。
親族とのお別れで、気落ちしているなか、余計なストレスを溜めぬよう、専門家に頼むことも検討しましょう。