失敗しない実家売却の手順すべて!損せずに得する方法を徹底解説

握手する手と家の模型

実家の売却が、人生初の不動産売却という人も多いでしょう。購入経験はあっても、売却経験が豊富な人も投資家以外は少ないでしょう。

そこで、本記事では実家売却の前準備から、不動産引き渡しまでを順を追って解説します。隣地との測量や、建物解体を行う実務上のタイミングについても解説します。無駄なく、後悔のない実家売却にお役立てください。

目次

後悔しない実家売却のための心構え

実家じまい、実家の売却を躊躇してしまうことは少なくありません。なぜなら、実家は生まれ育った家であり、親が守り抜いた家のため、寂しさと罪悪感を感じてしまうからです。両親が既に他界してしまっていると尚更でしょう。

しかし、住んだり、使ったりすることのない実家は既にその役目を終えています。空き家のまま放置し、朽ち果てていくのを見る方が心が苦しくなるのではないでしょうか。できるだけ良い状態のうちに、実家の終活をしていきましょう。

実家売却の後悔5選

頭を抱える女性

実家売却でよくある後悔を5つ紹介します。

生前の実家売却の後悔

高齢の親が施設に入るタイミングで、実家売却を希望するケースはここ数年、特に増えたと感じています。

司法書士は引渡しの前に、売主さんに「本当に売るんですね?」と意思確認をする義務があります。私も売主さんに会いに何度も高齢者施設や病院を訪れました。残念ながら、面談する人の中には認知症の方もいて、その時は心苦しいですが売却はできませんと伝えます。。そうなんです、親が認知症になってしまうと、普通には売れなくなるのです。

この様なケースでは成年後見制度というものを利用し、裁判所に口をだされつつ売却することになります。もちろん時間もお金も余計にかかります。しかも裁判所がNoと言えば実家の売却はできません。親の生前に行う実家売却も、タイミングを間違えないことが大切です。

実家を空き家のまま放置し後悔

家に人が住まなくなると、空気の対流がなくなり、湿気によるカビや木材の腐食が発生します。通水をしないことで、室内に悪臭が立ち込め、害虫やネズミなどが実家に住み着くようになるでしょう。雨戸を閉め切り、日光が入らなければ、ダニの繁殖も起こり得ます。

このように空き家は荒れやすい条件がそろってしまうため、いざ売ろうとしても見向きもされない負動産になり、最終的に解体するはめになります。

実家を物置化して後悔

実家じまいに時間がかかるのは、物の片付けをスタートできないことが原因のことが多いです。親の物を捨てるのも辛いし、大変。それに実家には大量の物が溢れているのがデフォルトです。

片付けが済めば、その後は不動産会社にお任せできるのに、最初の片付けのハードルが高く物置状態で放置をしてしまう。その状態が長くなればなるほど、実家の売却ハードルは上がります。だって空き家が今後どんどん増えていくのですから。

後悔なく実家じまいをする秘訣は、実家を物置化せず、片付けができるかにかかってくると言っても良いでしょう。

実家の片付け自力でして後悔

とはいっても、実家が遠方の場合には、片付け作業は相当な時間と労力がかかります。物を捨てるのに躊躇がない私のような人間でも、実家の荷物を処分するのには物理的に相当時間がかかりそうです。

私も職業上、ギリギリまで自力で片付けをして、引渡しの日ギリギリになって業者に頼む人に遭遇しました。「最初から任せればよかった」その通りかもしれません。

物を捨てるのが苦手な人も、思い出の詰まった物の処分が辛い人も、実家が遠方にある人も片付け業者を頼れば、あっけないほどスムーズに実家の片付けは終わります。実に1~2日で肩の荷がおります。自分で何日も何ヶ月も労力かけて時間をかけて疲弊して・・と考えれば、業者の費用も高くはない気がしませんか。

実家売却の節税を知らず後悔

もし実家を売却し、利益が出れば税金を納めなくてはなりません。実際の計算はもっと複雑ですが、ここでは端折って説明します。

利益が出た場合には譲渡所得税・住民税が課税されますが、次のような控除・特例を活用すれば、譲渡所得税・住民税が免税・節税できるのです。

【実家の売却に活用されることの多い特別控除・特例】
  • 空き家の3,000万円の特別控除
  • 居住用財産の3,000万円の特別控除
  • 軽減税率の特例

この控除・特例を活用するには、住まなくなった日(空き家の3,000万円特別控除は相続発生日)から3年を経過した年の大晦日までに売却完了していることが条件になります。この期間に売却ができれば、仮に利益が出ても、免税または節税が可能です。

これを知らずにいったん放置し、結果この制度が使えず多額な税金を納める。これも知っていれば、さっさと売ったのにと後悔するパターンです。実家を使う予定がないのなら3年以内の売却を目指すのが得策でしょう。

相続した実家の売却準備とは?

家の模型を持つ男性

相続して間もない実家の荷物を片付ける前は、忘れず次のことを行いましょう。まずこの準備を行うことが、後悔のない実家じまいには大切です。

【実家じまいの前準備①】財産の洗い出し

まず亡くなった親の遺産の洗い出しをします。遺産とは預貯金や不動産などのプラスの遺産と、借金や未払の税金などのマイナスの遺産をさします。

【実家じまいの前準備②】遺言書を探す

亡くなった親が遺言を遺していないか探します。実家の中だけでなく、公証役場や、法務局に遺言書を保管してもらっていないか、確認をします。

遺言書が見つかれば、遺言書の内容を確認し、誰が実家を引継ぐのかを確認しましょう。遺言書が遺されていない場合には、相続人全員で遺産分割協議を行います。

【実家じまいの前準備③】相続放棄の検討

遺産の洗い出しを行った結果、マイナスの遺産がプラスの遺産を上回る場合には相続放棄を検討します。相続放棄は相続開始を知った日から3ヶ月以内に手続きを行わなくてはなりません。

相続から3ヶ月はあっという間に過ぎてしまうため、司法書士や弁護士に相談をして、期限に間に合うように進めて行きましょう。

相続放棄をする場合には、実家の片付けや実家の解体には手を付けないでください。手を付けてしまうと相続放棄が認められなくなります。

【実家じまいの前準備④】相続登記をする

実家を自分が相続することになった場合には、実家の名義を親から自分名義に変更しましょう。相続登記を行っていないと売却活動ができないわけではありませんが、少なくとも誰が実家を相続するか揉めている様な場合には売却活動は当然できません。

自分が売却できる権限があることを証明するためにも、早いタイミングで相続登記をしましょう。相続登記は司法書士に依頼することが可能です。今後の売却活動のためにも、専門家に任せることをおすすめします。

実家を売却する準備

家の模型と鍵

次に実家を売却するための準備を順を追って説明します。

実家を片付ける

まずは、実家の片付けを行います。今後の売却活動で、購入希望者が内見にくることがありますが、荷物が散らかった家では購入意欲もわかないでしょう。売出し後、早くに購入者が決まり、慌てて片付けをした結果、大切な物をすててしまうリスクもあります。

そのようなことを避けるためにも、実家の片付けは優先して行いましょう。片付けの際には、親が実家を購入した際の売買契約書、権利証(登記識別情報通知)を探し、大切に保管をしてください。実家を片付ける方法には次の方法があります。

  • 遺品整理業者に依頼
  • 不用品回収業者に依頼
  • 自力で行う

遺品整理業者に依頼

遺品整理業者の特徴は、物を遺品として大切に扱ってくれること、気持ちに寄り添ってくれることです。物の選別から任せることが可能。

遺品整理業者のおすすめは「買取業者(遺品買取業者)おすすめランキング!【絶対に依頼したい業者が見つかる】」の記事にまとめています。

不用品回収業者に依頼

不用品回収業者は大量の荷物をスピーディーに運びだしてくれます。原則、物は不用品として扱われます。

自力で行う

実家が近く、荷物も少ない場合には自力で片付けるのもアリでしょう。ただし、時間がかかるため、売却スタートがなかなか切れません。

本人確認書類の準備

実家の売買契約時、引渡し時には本人確認書類が必要になります。そのため、運転免許証、マイナンバーカード・住民基本台帳カード・パスポート等を持っていない場合には用意をしましょう。

マイナンバーカードの取得には平均1.5ヶ月~2ヶ月(自治体により異なる)かかるため、このタイミングで作成をするとスムーズです。

境界を確認

実家売却の際には、隣地との境界をはっきりさせることが必要です。境界が不明確な場合には測量を行うことになりますが、このタイミングでは、実家に確定測量図があるか、境界標があるかなどのチェックをしておきましょう。

実際の測量は、実務上は売買契約後、引渡しまでの間に行うことが多いです。仲介業者から案内があるはずなので、その時点で測量を行えばよいでしょう。

複数の不動産会社に査定を依頼

次に実家の査定を複数の不動産会社に依頼します。複数の不動産業者から査定をしてもらうのには次の理由があります。

  • 複数の査定を比較することで、相場が把握でき買い叩かれない
  • 自分が良いと思う業者を選ぶ事ができる

一社からの査定だと、妥当な査定額かわからないですね。複数の不動産会社から査定を貰うには次の一括査定サイトの利用が便利です。実家のあるエリアの不動産会社から査定を受けることをおすすめします。

ここでは、地方の不動産にも強いと評判の不動産一括査定サイトを紹介します。

地方の不動産にも強いと評判の不動産一括査定サイト

実家の売却相場はどのくらい?

不動産会社への査定の依頼と並行して、自分自身でも実家の売却相場を把握しましょう。自分自身で実家の売却相場を確認すれば、不動産会社からの査定の妥当性を把握でき納得感を持って売却に進めます。

実家の売却相場を確かめるには次の2つの方法があります。

  • 国土交通省の取引データ検索
  • ポータルサイトで類似物件のリサーチ

国土交通省の取引データ検索

国土交通省の提供する不動産取引価格情報検索を使って実家のエリアの取引履歴を調べることができます。

取引日、取引価格、建物の床面積や築年数に加え、土地の形状まで見ることができ、より実家に近い物件の取引履歴を確認できる可能性があるでしょう。

不動産取引価格情報
不動産取引価格情報

ポータルサイトで類似物件の調査

「アットホーム」や「SUUMO」などの不動産ポータルサイトを使い、実家のエリアの売出し物件を調査します。検索条件で実家に近い条件を絞り込んで確認しましょう。

ただし、掲載されている価格は売出し価格(売主の売却希望額)のため、成約価格とは異なる点には注意しましょう。

不動産会社と媒介契約

査定を出してくれた不動産会社の中から、信頼のできる業者と媒介契約を結びます。

実家を売り出す仲介活動を依頼するために結ぶ媒介契約は、次の3つ契約方式があります。それぞれの特徴を知り、適切な契約を結びましょう。

一般媒介契約

複数の不動産会社に依頼可能。不動産業者の選び方に自信のない人におすすめ。レインズ(不動産業者が使う不動産物件情報のシステム)への物件登録義務がなく、販売状況の報告義務もありません。

専任媒介媒介契約

不動産会社からの販売状況の報告がほどほどにあるため、販売状況を把握しやすい。1社のみに任せるため、積極的に販売活動を行ってもらえるでしょう。

専属専任媒介契約

売却活動の報告頻度がもっとも高く、販売状況を把握しやすいのが特徴です。不動産会社としても積極的に販売活動が行える一方で、依頼した会社の実力に結果が左右される。自分で買主を探してきても仲介手数料が必要なことに注意しましょう。

スクロールできます
専属専任媒介専任媒介一般媒介
依頼可能な不動産会社の数1社のみ1社のみ何社でも可
売却活動の報告義務1週間に1度以上2週間に1度以上義務はない
レインズへの登録5日以内以内7日以内義務はない
自己発見取引 ✕
契約期間最長3ヶ月(更新可)最長3ヶ月(更新可)規定なし

売却活動開始

いよいよ実家の売却活動がスタートします。不動産会社が本格的に販売活動を行います。売却活動スタート時には、次の点について不動産会社と認識を共有しておきましょう。

  • 売り出し価格
  • 優先事項(時間がかかっても高く売りたい・とにかく早く売りたい等)
  • 引渡しはいつから可能なのか
  • 売却活動での希望

一般媒介契約の場合は、不動産会社からの売却状況の報告義務がないため、適時自分から状況確認を行います。

内覧対応をする

遠方の場合は不動産業者や代理人に任せることも可能。実際に実家をみてみたいという内覧希望者が見つかれば、実家で不動産会社の担当者と共に内覧の対応をします。質問を受けることもありますので、分かる範囲で丁寧に答えましょう。

内覧に立会うのがベストですが、遠方の実家の場合難しいこともあるでしょう。その時は、不動産会社の担当者のみで対応をしてもらうことも可能です。

購入希望者と条件のすりあわせ

購入希望者が見つかると、不動産会社から買付証明書や購入申込書が届きます。

買付証明書には、希望の購入金額、引渡し希望日などの要望が記載されています。内容を確認し、交渉を進めたい場合はその旨不動産会社に伝え具体的な交渉に進みます。

  • 売買価格
  • 手付金の額
  • 引渡し期日
  • 住宅ローンの利用の有無
  • 契約不適合責任の内容
  • 土地の測量の有無
  • 故障箇所の修繕の有無

など、契約条件をつめていきます。不動産会社に相談しながら条件交渉をします。交渉がまとまれば、売買契約を結ぶことになります。

売買契約の締結

売買契約は、不動産会社のオフィスで行うことが一般的です。売買契約の締結前には、宅地建物取引士による重要事項説明がされます。その後に、売買契約書の読み合わせ、売主・買主の署名捺印へと進み、買主から手付金を受け取ります。手付金を受領し、売買契約の締結完了です。

引き渡し準備

売買契約締結後から1ヶ月程度で引渡しをすることが一般的です。ただし、測量の関係や、買主の引越の都合、ローンの審査状況により1ヶ月より長くなることもあります。この期間に引渡しに必要な書類の準備をしましょう。

【引渡しに必要な書類等】
  • 登記識別情報通知(登記済権利証)
    ※相続した実家の場合、相続登記をした時に発行された登記識別情報通知
  • 印鑑証明書(引渡し日より3ヶ月以内に発行されたもの)
  • 固定資産税等納付通知書
  • 通帳
  • 実印
  • 銀行印
  • 本人確認書類(免許証やマイナンバーカード、パスポート等)
  • 不動産会社から指示された書類

引渡し(残金決済)

引渡し(残金決済)は、売主・買主・不動産会社の担当者、司法書士が一同に集まり行われます。

買主が住宅ローンを使う場合は、住宅ローンを使う金融機関で行われることが一般的です。基本的には遠方であろうと、売主として本人が出席する必要があります。

【残金決済の流れ】
  1. 売主・買主の名義変更に必要な書類がそろっているか、本人に間違いないか、司法書士が確認
  2. 売主・買主が登記関係の書類への署名捺印を
  3. 買主がローンを使う場合には金融機関がローンを実行し、最終的に売主の口座に残代金が入金される
  4. 不動産会社へ仲介手数料、司法書士へ登記費用の支払いを行う
  5. 引渡し完了。その後司法書士が法務局で登記申請を行う

残金決済当日に、鍵を忘れてしまう売主の方は少なくありません。また印鑑証明書登記識別情報通知実印がないと、買主名義に変更をすることができません。

その場で自宅に取りに帰ることになるため、遠方の場合は特に忘れないように注意しましょう。

確定申告

実家を売却し、譲渡所得(利益)が出たときには、確定申告と納税が必要になります。

この譲渡所得の計算に、実家購入時の売買契約書等が必要になります。実家売却後の税金についてはこちらの記事をご覧ください。

実家が売れない!買取を検討しましょう

「実家の売却活動をしているものの、なかなか売れない。」管理や固定資産税等の負担もあるため、いち早く売却したいですね。早く売却したいときは、仲介での販売よりも買取をおすすめします。

ここでは、再建築不可の物件や市街化調整区域の物件の買取実績も豊富な買取業者を紹介します。

Googleの口コミでも高評価、株式会社AlbaLink「訳あり物件買取PRO]

実家が遠方の場合

家の模型

実家が遠方の場合の売却は、特に次のポイントを押さえましょう。

  • 地元の不動産会社に依頼する
  • 実家売却までの期間
  • 実家の売却がきまるまでの管理

それぞれ確認しましょう。

地元の不動産業者に依頼

実家が遠方の場合は、実家のエリアにある不動産会社へも査定依頼をしてみましょう。地域の特性や取引事例を把握しているため、確度の高い査定額を出すことができます。

実家エリアの不動産会社であれば、内覧の対応を任せることもできるでしょう。

実家売却までの期間は?

実家の買主が決まるまでの期間は、平均では表せないほど千差万別です。地方の不動産は半年から1年位かかると考えておくとよいでしょう。

地方の築古戸建がどの程度の期間で売れたのかを独自に調べました。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

実家売却までの管理は?

買主が現れるまでは、実家の適切な管理を行いましょう。買主候補がせっかく内覧に訪れても、カビや給排水管からの悪臭が漂っていたら台なしです。

最低でも月に1度は換気、通水、庭やポストのチェックを行うことが大切です。遠方で月に1度訪れるのが難しい場合には、仲介をお願いしている不動産会社に相談をしてみましょう。

また、有料にはなりますが、全国展開する空き家管理サービスもあるので、利用を検討しましょう。空き家管理サービスについてはこちらで詳しく解説しています。

まとめ

実家を売却する時には、前準備のハードルが高く売却活動のスタートができないことも少なくありません。実家売却の機会損失をなくすために、上手に片付け業者を活用することが大切です。

実家売却は最初が大変ですが、実家の片付けさえ終われば、その後は不動産会社がリードをしてくれます。実家の売却は信頼できる不動産会社と売却希望価格の設定にかかっています。

実家の売り出し価格は自分で相場を把握したうえで、複数の不動産会社から査定を受ければ、買い叩かれたり逆に高く設定しすぎて、売れ残るような事態を避けることができます。

一括査定サイトを活用し、適切な査定額を出す信頼できる会社に販売活動をお願いしましょう。

サービスは記事執筆当初の情報であることをご了承くださいませ。商品・サービスのリンク先にPRを含む場合がございます。ご了承くださいませ。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次