遺品整理はいつまでに行うべき?
どんな物を残せばいいのかわからない
遺品整理は何度も経験するものではないため、どのように行っていいか分からない人がほとんどではないでしょうか。本記事では次の点について解説します。
- 遺品整理はいつ行うのか
- 遺品の選別の基準
- 捨ててはいけない遺品
記事後半では、大切な親の遺品のリメイクサービスも紹介します。とても素敵なサービスなのでぜひチェックしてみてくださいね。
親の遺品整理はいつから始める?
親の遺品整理はどのタイミングで始めるものでしょうか。結論から言えば、時期は決まっていません。一般的なタイミングとしては次のタイミングになります。
四十九日の法要のあと
遺品整理を始めるタイミングは、自分自身や家族の心が落ち着いた時期がベストです。しかし、忙しい毎日を送る私たちは、ある程度の目安を決めることは遺品整理が延び延びにになることを防げます。時期的には四十九日はひとつの区切りになります。親族が集まるこのタイミングで遺品整理について、話し合いができるとよいでしょう。
葬儀のあと
もし亡くなった親が賃貸物件に住んでいた場合で、後に賃貸物件に住む相続人がいない場合には、四十九日まで遺品整理を待つ理由はありません。賃貸物件の解約を行い、部屋の引渡日までに遺品整理を終わらせなくてはなりませんので、葬儀後に遺品整理を行っていきます。
親の遺品を残す?処分?判断基準を解説
いざ遺品整理を始めると何を残せばいいのか迷ってしまう人は多いものです。ここでは親の遺品で残すものの基準を説明します。
親が大切にしていたもの
親が大切にしていたものは、処分せずに残しておくとよいでしょう。形見として手元にあることで、親を亡くした悲しみを癒してくれることもあります。
遺族にとって思い入れのあるもの
親との思い出の詰まったもので捨てられないものは無理に処分する必要はありません。写真などは思い出そのものですし、後日デジタル化して場所を取らぬようにすることも可能です。
金銭的・歴史的価値のあるもの
金銭的価値の高いものも残しましょう。50,000円を超える価値のあるものは相続の対象になります。自分では価値のわからない骨董品なども、実は金銭的価値・歴史的価値がたかいものもあるため、後日鑑定をしてもらった後に残すか処分するか決めましょう。
リメイクできるもの
着物やスーツ、貴金属など親が身に着けていたものをリメイクし、今度は自分が身に着けることもできます。記事後半でリメイクのサービスも紹介します。
買取してもらえるもの
家電や家具、電子機器などは買取してもらえることもあるため、残しましょう。残すものが多いと遺品整理をしても片付かないため、遺品整理を行っているなかで、買取業者などに買取査定をしてもらい引き取ってもらいましょう。
アンケート概要:実家じまい経験者へのアンケート
調査数:100サンプル
出典:遺品整理時に捨てられなかったものは何ですか?|株式会社アンビシャス
親の遺品で残すものリスト
親の遺品で残すものの基準を紹介しました。具体的な遺品例をまとめました。
具体例 | 注意ポイント | |
---|---|---|
親が大切にしていたもの | お気に入りの服 腕時計 鞄 カメラ等の趣味の物など | 形見分けの対象となることが多い |
遺族にとって 思い入れのあるもの | 写真 日記 親との思い出の品など | ※大量の写真は後日デジタル化することも可能 |
金銭的価値・ 歴史的価値のあるもの | 骨董品 貴金属 腕時計 専門書・古書美術品など | ※50,000円を超えるものは相続対象となる |
リメイクできるもの | お気に入りの服 スーツ 着物 アクセサリーなど | ※自分でリメイクする他リメイクサービスを活用できる |
買取可能なもの | 家電 家具 ゴルフ用品 お酒 カメラ コレクター品 ブランド品など | ※家電:製造年式が5年以内の物が目安 ※家具:ブランド家具~10年 一般の家具~5年以内 破損などがあると買取不可になる可能性がある |
上記の表にまとめた物は原則、相続人間で話し合って残す、残さないを決めることができるものです。買取可能なものはおおよその基準もあるので、判断がつきやすいですね。
注意!親の遺品で捨ててはいけないものリスト
遺品の中には、捨ててはいけないものがあります。相続手続きに関連するものや、返す必要があるものです。ここでは捨ててはいけない遺品をまとめました。
具体的な遺品 | 注意ポイント | |
---|---|---|
相続に関連するもの | ・遺言書 ・現金 ・金券 ・有価証券 ・不動産の権利証(登記識別情報通知) | ※「自筆証書遺言」は封を開けずに、家庭裁判所での検認手続きが必要 ※権利証は相続登記で必要になるケースがある(原則は不要) |
返却するもの | ・リース品 ・レンタル品 ・個人的に借りているもの ・仕事の資料や書類 | ※リース契約は契約先に引き継ぐか、解約するかの連絡をする |
手続き上必要なもの | ・通帳 ・印鑑 ・身分証明書 ・年金証書 ・各種契約書 ・介護保険証 ・保険証 ・高齢者乗車券 ・郵便物等 | ※これらの書類は相続後の手続きで使用するため、葬儀後などなるべく早いタイミングで、探し出すことが必要 |
【捨ててはいけないもの】相続に関連するもの
現金・金券は少額であっても勝手に使ってしまわないようにしましょう。相続財産に該当します。
遺言書は、相続手続きにとても重要な書類なので捨てる人はいないでしょう。注意点として、亡くなった親が自分で作った「自筆証書」は発見しても封を開けてはいけません。必ず裁判所の検認手続きを経て、開封します。
不動産の権利証(登記識別情報通知)は相続登記では原則不要です。ただし、相続登記に必要となる亡くなった親の住所の証明書が揃わないケースなどで必要になることがあります。捨てずに保管をしましょう。
【捨ててはいけないもの)返却するもの
リース品やレンタル品、個人的に借りているものや仕事の資料等は捨てずに返却する必要があります。亡くなった親がリース契約をしていた場合には、できる限り早くリース契約先に連絡を入れましょう。
手続き上必要なもの
保険証や介護保険証、高齢者乗車券や年金証書などは提出・返却する必要があります。また契約書(ローン・賃貸借契約書など)等も念のため保管をしましょう。亡くなった親あてに届く郵便物も未払いの請求書などがあるかもしれませんので捨てずに保管します。
もう迷わない!親の遺品整理の3ステップ
親の遺品で残すもの、捨ててはいけないものを解説しました。ここでは、どのような手順で遺品整理を行っていけば、少ない負担で進めていけるのかを解説します。
貴重品を探す
まずは捨ててはいけないものリストにあった物(貴重品)を探します。これらの書類等は、相続手続きに使うものや返却するものなので、一番最初に仕分ける必要があるのです。遺品整理を業者に依頼する際にも、貴重品は先に探して保管することをおすすめします。
残すものの選別
次に残すものリストにある遺品を選別していきましょう。ここが一番時間がかかるステップです。焦って処分してしまうと、後で後悔することにつながるので、慎重に行います。
ここで形見分けになりそうな遺品は分けて保存しましょう。思い出のある遺品に触れると、親の事が思い出され、つらい気持ちや悲しみが溢れることもあるでしょう。無理せず、マイペースに進めていけば大丈夫です。迷って判断が付かない場合は保留の品として、分けて保管し、後日処分すべきか判断しましょう。
売れるものを選別
最後に、買取してもらえる物が残っていないかの確認をします。価値のわからない骨董品などがあれば、念のため保管し鑑定を受けたのちに判断をしましょう。
ここまで終わらすことができれば、あとは残ったものの処分をするだけです。するだけですと言いましたが、ここからが体力的にキツイところです。ですので、ここから先は業者にお任せしてしまうのがベストでしょう。
親の遺品を捨てられない理由
遺品整理を初めてみたものの、思ったように遺品を捨てる判断ができないことは少なくありません。捨てられないその理由を探ってみましょう。
選別できない・判断できない
何を残しておいてほしいのか、親に聞くことができないので難しいですよね。自分の物は捨てられても、人の物は捨てづらいものです。また、コレクター気質があった場合は、その価値がわからないと、判断に困ってしまうでしょう。
思い出があるから
親の遺品の中には、子どもの頃の思い出がつまったものや、親との思い出がつまったものが沢山あります。物のなかに、親の面影をみつけてしまうということもありますよね。
私絶対親の遺品整理できないよ…自分のでさえ、思い出に浸って捨てられない
— ひょっ@でぃすなー (@yuukise) December 18, 2014
たしかに想像しただけでも難しい気がしますね。
親の遺品は捨てられない。レシートすら取ってある。#ホンマでっかTV
— taka (@mittu_32) November 16, 2022
私は、レシートはさすがに捨てられそうです。
罪悪感からできない
全ての物を残せたらいいのですが、なかなかそうもいきません。でも親の物を捨てるのは申し訳ない気持ちになってしまう人も多いでしょう。
時間の余裕がない
慌てて遺品整理をしたくない。でも時間が取れない。こういったケースも少なくないでしょう。遺品整理をじっくり行いたいと思う人は多いのではないでしょうか。
気持ちの整理がつかない
実は一番根本的な問題は、自分の気持ちの整理がついていないことかもしれません。遺品を捨てたら心の拠り所がなくなってしまう、親を近くに感じていたいなど、自分の気持ちの問題で捨てられないことは少なくありません。無理をして遺品整理を進めなくても大丈夫です。気持ちが落ち着いたタイミングで遺品整理を進めていきましょう。
出典:遺品整理経験者へのアンケート|株式会社NEXER 日本トレンドリサーチ
捨てられない親の遺品の対処法
全部は取っておけないけれど、捨てることもできない。だからといって実家を物置代わりにしてしまうのも様々なリスクがあります。
遺品整理経験者へのアンケートでは、取扱いに困った遺品を約半数の人はそのまま保管しています。しかし、このまま保管したままにすれば、いずれ自分が死んでしまった後、次の代が同じ葛藤を抱えることになります。
そこで捨てられない遺品への対処法を紹介します。
形見分けする
遺品を捨ててしまうことには抵抗があっても、譲った人が大切にしてくれるのならどうでしょうか。形見分けは、親が生前仲良くしていた友人や親戚に遺品を渡し、思い出を共有する風習です。検討してみてはいかがでしょうか。
供養(お焚きあげ)をする
遺品をゴミのように捨てるのは辛い、罪悪感を感じてしまう場合には供養(お焚き上げ)を検討してはいかがでしょうか。
お焚き上げは遺品を天に還す、故人に返す意味があるため、亡くなった親への供養になり、気持ちも穏やかになると言われています。お焚き上げは神社やお寺に依頼することが一般的で、費用は供養するものにより3,000~30,000円を想定しておけばよいでしょう。
また最近では、宅急便を利用し依頼できるお焚き上げも登場しています。お焚き上げ供養料、神社への配送料、お焚き上げ証明書発行料などすべての費用込みで1,000円から利用できるので、忙しい人にはおすすめです。
【みんなのお焚き上げ】キット寄付する
遺品が破損や汚れなどなく比較的きれいな状態であれば、寄付することも検討してみてはいかがでしょうか。
株式会社ホンカウが運営するありがとうBOOKでは、本以外にも衣類やカバン、家電などの寄付を募っています。寄付先は、病気で苦しむ人をサポートする団体、死別を経験した子どもを支援する団体、貧困の支援をする団体などから自分で選ぶことが可能です。
寄付なので、発送費用などの負担はありますが、親の遺品が人の役に立つのは気持ち的に捨てるより全然良いですよね。
業者に依頼する
遺品を見るのが辛い、思い出が溢れてまったく進まない、時間的に猶予がない場合には、遺品整理業者に依頼することをおすすめします。
遺品整理は人によってはダメージが大きい作業になることもあるため、無理せずに頼ってしまうのもひとつの手です。順序は逆ですが、物が片付くことで気持ちが落ち着くこともあるでしょう。
残す親の遺品の保管方法は?
遺品整理後、残すことにきめた遺品はどのように保管すればいいのでしょうか。自宅に持ち帰ることが一般的ですが、スペースの問題もあります。ここで遺品の保管方法のアイディアをご紹介します。
トランクルームを利用
自宅に保管するスペースがない場合には、トランクルームの利用を検討するのもいいかもしれません。昔はコンテナ型のトランクルームしかありませんでしたが、今は段ボール1つからでも預け入れ可能なサービスも登場しています。宅配で送るだけなので、車がなくても運べるのが便利ですね。
デジタル化する
大量にある思い出そのものの写真はデジタル化すれば、場所をとることなく保管可能です。
紙の写真も素敵ですが、意外に取り出すのが面倒で見ることが少ないのでは。デジタル化してしまった方が気軽に写真をみることができるのもメリットです。
親の遺品の衣類はリメイク
親が大切に着ていた着物やスーツ。捨てるのは忍びないけれど、自分が着るには型も古いし、サイズも合わない。お気に入りだったスーツは仕立て直しをすれば、自分にぴったりのスーツとして活躍してくれます。着るたびに父親の存在を感じられるのも素敵ですよね。
東京都杉並区 テーラーまるやま
埼玉県毛呂山町 アトリエサカモト
東京都中央区 サルト株式会社
着物のリメイク
着物をこんなテディベアにするのも素敵ですね。熊本のきものリメイクの専門店カナタツ商店さんでは、着物を様々なグッズにリメイクするサービスを提供しています。ネットで注文でき、リメイクカタログも無料で頂けるのでぜひチェックしてみてくださいね。
小9,900円(税込)大14,300円(税込)
様々な衣類のリメイク
着物以外、仕事のユニフォームや普段着、パジャマなどの衣類を自分の選んだ人形に合わせてリメイクしてくれる福岡のオーダーメイドリメイク店スモールハピネスさん。裏地のあるスーツは裏地付きでリメイクしてもらえる徹底的なサービスです。こちらの店舗もネットで注文可能なのが嬉しいですね。リメイク費用は5,800円(税込)〜です。ぜひこちらの店舗もチェックしてみましょう。
出典:思い出の遺品リメイク |スモールハピネス 株式会社サークワイド
親の遺品整理の注意点
亡くなった親の遺品整理を始めるにあたって注意すべきことがあります。ひとつずつ解説します。
相続放棄する・したなら手を付けない
相続放棄を検討している、もしくはすでに相続放棄の手続きを行った。この場合には、実家の遺品整理を行うことは控えましょう。なぜなら、相続放棄が認められなくなる可能性が高いためです。ゴミを片付ける程度であれば大丈夫ではありますが、以降は手をつけないようにしましょう。
もしも、遺品買取を行ってしまったような場合には、買い取り代金は別に保管し、使わないようにしてください。形見分けに関しても、その線引きは微妙なところがあるため、弁護士や司法書士に相談をしてください。
親族で相談する
遺品整理を一人で勝手に行ってしまうと、後で親族とトラブルになることもあります。四十九日前に遺品整理を行う場合にも、相続人間、親族間で話し合う機会をもちましょう。
親の遺品整理の参考になるブログ
遺品整理は基本的に大変な作業になることが多いです。ひとりっ子だったり、兄弟がいても協力的でない場合には辛くなってしまうこともあるでしょう。そんな時にはぜひ、ご紹介するyoutubeをぜひチェックしてみてください。遺品整理の動画ですが、参考になるし、元気が出ますよ。
整理収納アドバイザー1級のハンドさんが祖父の遺品整理を2日で行う!
50代主婦が母の遺品整理に挑む
自力では捨てられない場合は業者に頼るのもおすすめ
自分で遺品整理が進められない場合には、遺品整理への依頼を検討しましょう。遺品を見るのがつらい、物を捨てることが出来ない場合や遠方の実家の場合、業者へ依頼することをおすすめします。
業者に頼むメリット
自分で行うと数か月かかってしまうこともある遺品整理も、専門業者に依頼をすれば2日もあれば完了します。貴重品の捜索や、物の選別も依頼でき、遺品の供養も一括して行ってもらえることが一般的です。時間的にも、体力的にも、気持ち的にも大幅に負担を軽減できるのがメリットでしょう。
業者に頼む際の注意点
貴重品なども扱うことになるため、業者を選ぶ際は信頼できる業者であるのかを慎重に判断しましょう。口コミを調べてみるのも良いでしょう。
また、不当な高額請求をされないためにも、複数の業者への訪問見積りを依頼してください。かなり見積りにバラツキがあるので要注意です。業者選びについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ
遺品整理で残すもの、捨ててはいけないものを解説しました。
捨ててはいけないものは、迷うことがないものの、自分で選んで残す遺品はむずかしいところですね。遺品を捨てようと思っても、捨てられない気持ちにはとても共感します。
私自身は遺品を捨てるのはつらいけれど、形を変えるのは抵抗がないなと思いました。そこでリメイクサービスを紹介しました。大切な親の形見である衣類は、リメイクすれば、可愛らしくコンパクトに保存することができます。スーツの仕立て直しも素敵ですよね。思い切って捨て、あとで後悔するのも悲しいので、このようなサービスもぜひご活用ください。