田舎の実家を相続したけど、どうすべき?
古い田舎の実家は相続放棄した方がいい?
田舎の実家を相続したものの、自分にはすでに別の家があるのでどうしたものか。こんなケースは少なくありません。
本記事では田舎の実家を相続する予定の方、既に相続し持て余し気味な方に次の点を解説します。
- 田舎の実家を相続したときの問題点
- 田舎の実家の売却方法別荘?賃貸?
- 田舎の実家の活用は可能か?
- 田舎の実家の固定資産税は?
- 田舎の実家は相続放棄するのが良い?
もしかしたら田舎の実家に帰ろうかと迷う人もいるかもしれません。この場合の考え方のヒントも解説します。
本記事を読めば、田舎の実家をどうするべきかがわかり肩の荷をスッキリおろすことができます。最後までチェックしてくださいね。
田舎の実家を相続したときの問題点
田舎の実家を相続する予定の方や、既に田舎の相続不動産を所有している方の中には、最近話題になっている「空き家問題」や「空き家法」が気になっている方も少なくないでしょう。ここからは田舎の実家を相続するときの問題点を解説します。
管理のために月1訪問
田舎の実家を相続した場合、最低でも月に1回程度は管理のため訪問する必要があります。
空き家になった家は、ホコリや臭いの問題をはじめ比較的早く痛みがすすんでしまうため、最低でも月1で訪問し、換気や通水、庭木や雑草の手入れをすることが欠かせません。適切な管理をすることで資産価値を保つことが可能です。
固定資産税などのコストがかかる
たとえ住んでいなくても、田舎の実家を相続すると固定資産税が課税されます。後ほど固定資産税の調べ方を解説しますが、所有する限り負担は続くため、1年単位では低額であったとしてもチリツモ効果は侮れません。
特定空家等に指定されるリスクがある
何かと話題の「空き家法」ここ数年で空き家に対する取り決めが進みました。
賃貸に出さず、売却予定もない空き家がここ20年(令和3年時点)で1.9倍に増加したこともあり、2015年には空家等対策の推進に関する特別措置法、いわゆる「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が制定されました。
これにより、崩壊の危険のある空き家などは行政が「特定空家等」に指定することができるようになりました。特定空家等に指定されてしまうと次の様な事態に発展する可能性があります。
- 固定資産税の住宅用地の特例から除外され固定資産税を通常の6分の1とする減額がなくなる
- 周囲に危険を及ぼす空き家等は行政代執行により行政が建物の取り壊しを行い、その費用を請求される
このような事態を避けるためにも空き家になった実家の適切な管理は重要です。
実家のかたづけが大変
実家を相続した場合、売るにしても貸すにしても家の中を片づけなくてはなりません。田舎のお家には立派なお仏壇があることも少なくなく、取扱いに困ってしまう人も少なくありません。
自分のものではない、大切な人の遺品を整理する作業は、とてつもなく大変ですし、実家が遠方にある場合には現実的に難しい状況なのは想像に難くありません。
近隣への配慮が必要
空き家になった実家を適切に管理できないと、近隣とのトラブルに発展する可能性があります。
例えば庭木が越境してしまいお隣さんに迷惑をかけてしまったり、雑草が生い茂った庭にはゴミが不法投棄されたりと、適切な管理をしなければ治安の維持にも悪影響を与えます。
話し合いが進まない可能性
相続した財産が田舎の実家だけの場合にも問題は起こりやすいです。
誰かが実家を引き継ぐのならまだ良いですが、だれも実家に住まない・使わない場合には、かたづけの面倒と税の負担、管理の負担があることから放置されたままになるケースも考えられます。
自分の代で解決できず、次の世代にその負担を引き継いでしまう可能性も考えられるのです。
損害賠償責任のリスク
ひどい豪雨や突風などにより、相続した実家の屋根瓦が飛び、第三者にケガを負わせてしまった場合、損害賠償責任を負うリスクがあります。
通常、自然災害に起因し第三者に損害を与えた場合は損害賠償責任は免れますが、民法の717条は次のように定められています。
「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。」
つまり、実家の適切な管理を怠っていた結果、台風で屋根瓦が飛び、第三者にケガをさせてしまった場合には損害賠償責任を負うということです。
このようなリスクを負わないためにも、空き家になった実家の適切な管理、修繕等が求められます。
参照:e-Gov法令検索
田舎の実家は相続放棄すべき?
住まない実家を相続すると、大変だなと感じた方も少なくないでしょう。
だったらいっそ、実家を相続放棄したらいいじゃないかと考える人がいてもおかしくないですね。
ですが結論として実家を相続したくないという理由だけで(そのような人がいるかはわかりませんが)相続放棄することは妥当ではありません。理由を見ていきましょう。
実家だけを相続放棄することはできない
相続放棄は、亡くなった方のプラスの遺産もマイナスの遺産も全てを放棄することです。
現金や預貯金は相続するけど、実家は相続放棄するということはできません。
相続放棄が認められると撤回できない
相続放棄は家庭裁判所に申し出て相続放棄を認めてもらいます。もし相続放棄が認められれば、それ以降に亡くなった方の隠し財産が発見されたとしても、相続放棄を撤回はすることはできません。
取消しができるのは、誰かにだまされたり脅迫されて相続放棄をしたような場合、未成年が勝手に相続放棄をしてしまったような特殊な場合に限られます。
相続放棄はそもそも3ヵ月という期限がある
相続放棄の手続きは「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」という手続きの期限があります。これを熟考期間と呼びますが、この熟考期間を過ぎてしまえば何もせずとも単純承認(相続をすること)したこととみなされ、相続放棄は原則認められません。
ただし、借金の調査に時間がかかってしまうなどの特別な事情があれば、期間延長の申し出をすることは可能です。熟考期間を過ぎてしまっていれば、特別な事情がない限り相続放棄はそもそも認められません。
他の親族に影響がある
相続放棄は相続人を元から相続人でなかったとみなす制度です。そのため、相続放棄がなければ、相続人にならなかった親族が相続人になるケースが発生することがあります。
自分だけの問題ではなくなるため、相続放棄をする場合には慎重な判断と親族への適切な報告が必要になります。
相続放棄をした方が良いケース
結論として相続放棄をした方が良い代表的なケースは次のケースです。
- プラスの遺産でも払えない額の借金がある場合
- プラスの遺産でも払えない程の滞納している家賃がある場合
- プラスの遺産でも払えない程の金銭債務の保証人になっていた場合
- 故人がプラスの遺産でも払えない程の損害賠償債務を負っていた場合
- 複雑な親族関係などで相続しなくてもいい位に関わり合いを持ちたくない場合
その他にも相続放棄をした方が良いケースはありますので、もし気になる点があれば自己判断だけで決めずに、弁護士や税理士、司法書士などに相談だけでもすることをおすすめします。
田舎の実家の固定資産税の調べ方
田舎の実家を相続した場合には、たとえ住んでいなくても誰が相続するか遺産分割協議が整っていなくても固定資産税が課税されます。ここからは固定資産税の計算方法をステップごとに解説します。
固定資産税の調べ方【ステップ1】
固定資産税を計算するためには税額計算のベースとなる固定資産税評価額を調べます。
固定資産税評価額は次の方法で確認することができます。
①4~5月に役所から届く固定資産税の納税通知書を確認する
下記は大阪市の納税通知書の例ですが、丸のついている部分が土地・家屋の固定資産税評価額です。納税通知書には固定資産税額も記載されているため、わざわざ計算をしなくても固定資産税の額がわかります。
②不動産のある市区町村の役所で評価証明書を取得する
不動産の存在する市区町村役場の資産税課や課税課等で評価証明書を取得します。
評価証明書には固定資産税額は記載されていないため計算をする必要があります。評価証明書を取得できる人は次の人です。
請求できる人 | 請求時に必要な書類等 |
---|---|
納税義務者(不動産の所有者) | 官公署発行の顔写真付きの本人確認書類 (運転免許証・パスポート・マイナンバーカード) |
納税義務者の同居家族※ | 官公署発行の顔写真付きの本人確認書類 |
納税管理人 | 官公署発行の顔写真付きの本人確認書類 |
代理人 | 官公署発行の顔写真付きの本人確認書類 委任状 |
相続人 | 官公署発行の顔写真付きの本人確認書類 相続関係を確認できる戸籍謄本または法定相続情報・遺産分割協議書や遺言書など |
法人 | 法人の代表者印を押印した証明申請書 または法人の代表者印が押印されている委任状 官公署発行の顔写真付き本人確認書類 従業員が請求する場合は社員証等 |
借地人・借家人 | 官公署発行の顔写真付き本人確認書類 借家借地関係を確認できる書類 |
1月2日以降に不動産を購入した買主 | 官公署発行の顔写真付き本人確認書類 登記事項証明書・売買契約書の写し等 |
1月2日以降に競売で不動産を取得した買受人 | 官公署発行の顔写真付き本人確認書類 代金納付期限通知書 |
※住民票上、同一の世帯である同居家族
相続した実家の公課証明書を取得する場合で、相続登記が終わっていない場合には、不動産所有者である故人と相続関係がわかる書類を持参します。役所により多少異なるため、事前に役所に確認して取得しましょう。
固定資産税の計算をする【ステップ2】
評価証明書を取得した後に、評価証明書に記載された土地・建物の固定資産税評価額を利用して固定資産税を計算します。
固定資産税のベースになるのは、先程調べた固定資産税評価額ですが、税金の計算をするときには固定資産税課税標準額を使います。
建物:課税標準額=固定資産税評価額
土地:課税標準額=固定資産税評価額×特例率
土地の課税標準額を計算する際の特例率は次のとおりです。
200㎡以下の部分は固定資産税評価額×1/6
200㎡を超える部分は固定資産税評価額×1/3
要件 | 固定資産税課税標準額 | 都市計画税課税標準額 | |
小規模住宅用地 | 200㎡まで | 固定資産税評価額×1/6 | 固定資産税額×1/3 |
一般住宅用地 | 小規模住宅用地以外の住宅用地 | 固定資産税評価額×1/3 | 固定資産税評価額×2/3 |
建物の固定資産税課税標準額は固定資産税評価額と同額ですが、新築住宅の場合は税額減額措置があります。戸建で3年間、マンションの場合は5年間、税額が2分の1に減額されます。
土地の固定資産税課税標準額×特例率×1.4%
建物の固定資産税課税標準額×1/2(新築の場合)
算出されたそれぞれの固定資産税額を足せば不動産全体の固定資産税の額が出ます。
いらない実家の活用方法とそのメリットデメリット
誰も住まない実家・いらない実家は売却がベストです。
誰もがご存じのように、日本の人口減少は今後も続いていきます。総世帯数よりも住宅総数の方がすでに多いという状況の中、使う予定のない不動産を「いつか売る、いつか貸そう」と所有し続けることは、リスクが高いと思いませんか。
いつか売ろうのいつかの時には、既に売りたくても売れない状況になっている可能性が高いでしょう。
売却し現金化する
おすすめの方法は、売却して現金化です。
築年数の古い田舎の実家を売るのは簡単ではありませんが、方法さえ間違わなければ売れる可能性は低くはありません。古い実家の売却化の生をあげる売却方法については後ほど説明します。
実家売却のメリット
住まない実家を売却するメリットは次のとおりです。
- 現金化できる
- 税負担がなくなる
- 管理の負担がない
- 損害賠償責任を負うこともない
実家売却のデメリット
住まない実家を売却するデメリットは以下のとおりです。
- 実家を手放すのは寂しい
実家を手放すのはやはり寂しい気持ちになりますよね。実家売却の寂しさを和らげる方法はこちらの記事をチェックしてください。
- 荷物を片づけなくてはならない
(荷物を片づけなくても良い売却方法は後述します)
賃貸に出す
相続した実家を賃貸する方法です。古い実家の場合は、そのまま賃貸に出せるケースは少ないでしょう。
賃貸人が住みたいと思えるような内装・設備でなければ借りたい人も出てきません。
また古い実家は新耐震基準を満たしていないことも多く、万が一を想定して耐震リフォームを行っておく必要もあるでしょう。
これらのリフォームや耐震リフォームには小さくない費用がかかりますが、回収できない可能性もあることは知っておきましょう。
その点も考慮して賃貸経営を考えていくことが大切です。
賃貸に出すメリット
- 実家を手放さなくて良い
- うまくいけば収益を得られる
- 人が住むことで建物の傷みは穏やかになる
賃貸に出すデメリット
- 初期費用(リフォーム代)がかかる
- 賃借人が現れるか不確定
- 初期費用が回収される保証はない
- 物件管理が不適切で賃借人がケガをしたような場合に損害賠償瀬金を負う
別荘にする
数年前からデュアルライフという生き方が注目されていますね。2拠点生活。
平日は自宅で暮らし、週末や長期休暇の際に実家を別荘として利用する方法です。
リモートワークができる業種の方や、ワーケーションで利用するのもアリかもしれないですね。
維持費や交通費、固定資産税など費用が意外とかかるものなので、その点は注意が必要です。
別荘にするメリット
- 田舎暮らしのお試しが可能
- 自然に触れて心に余裕ができる
- 管理がしやすくなる
実家に戻ろうかと考えている方は、いきなり実家に生活拠点を全て移す前に、お試しとして実家を別荘化することはおすすめです。
田舎の実家から長く離れていると、その地域での人間関係を再度作らなくてはいけなかったりもします。一定期間別荘として利用して、暮らしていけそうなら本格的に実家に戻るのは良い方法でしょう。
実家を別荘にするデメリット
- 遠方だと交通費がかかる
- 公共料金の基本料金が2倍になる
- 税負担が続く
別荘を購入する費用は不要ですが、意外と費用が嵩むことは知っておきましょう。
売れない?田舎の実家の売却方法
田舎の古い実家を売却するには2つの方法があります。
結論として田舎の古い実家を手離れ良く売りたいなら不動産買取がおすすめです。
不動産買取と仲介の違い、相続した田舎の実家を売却する際の特殊要因について確認していただければ、なぜ不動産買取をおすすめするのか理解していただけるでしょう。
不動産買取と仲介の違い
不動産買取は不動産買取業者が売主から直接不動産を買い取ります。
対して仲介による売却は、不動産仲介業者が広く宣伝活動を行い、エンドユーザーの個人の買主を探して売買を成立させる方法です。
一般的に知られている不動産売却は仲介会社が売主と買主の間にはいる仲介による売却方法です。
実家不動産売却の特殊要因
自分が住んでいた自宅を売る場合と異なり、相続した不動産を売却する場合には次の様な特殊な要因があります。
実家の不具合などについて詳しく知らない
自宅不動産であれば大抵の不具合は生活している中で気がつくことが多いでしょう。
しかし、住んでいなかった実家の場合には、見た目ではわからない不具合は気づけないことがほとんどではないでしょうか。このような把握していない不具合を、契約書に記載せずに売却してしまうと、引き渡し後に契約不適合責任を追及される可能性があります。
内見の対応が大変
実家が近くにある場合は問題になりませんが、もし実家が遠方の場合には内見の対応が大変です。
実家の中を見たいという人が、どのタイミングで現れるのかは不確定です。
遠方であれば対応するのが大変ですし、せっかく対応したのに決まらなければ疲れてしまいますね。
内見対応を代わりに行ってくれる不動産業者もありますが、そもそもそのような地元の会社を探すのも現地に行かなければならず骨が折れます。
実家の荷物のかたづけは大変
実家の荷物がまだそのままになっている場合、片づけるのはとても苦労の多い作業です。
というのも、人のものを仕分けるのは自分のもの以上に判断がつかず、時間がかかるためです。
さらに大切な親の遺品ともなれば、想い出が溢れているためそう簡単に片づけることができないものです。
実家売却のハードルのひとつとも言えるでしょう。
買取のメリット・デメリット
不動産買取のメリットとデメリットは次のとおりです。
不動産買取のメリットとデメリット | ||
メリット | ・契約不適合責任を免責にしてくれることが一般的 ・内見は基本的に1回のみ ・現金化までスピーディーに進む ・荷物をそのままでも買取可能な業者も多い | |
デメリット | ・市場価格の6~8割の買取価格になる ・買取専門業者を見つけるのが難しい |
実家を不動産買取で売却する一番のメリットは契約不適合責任の免責だと個人的には思います。
細かな点まで把握できていない実家を売却する場合、あとで〇〇が壊れていた、雨漏れがあったと言われ、その補修費用を支払ったりするのはかなりストレスがかかると思うのです。
であれば、「売ってしまえばそれで終わり」の不動産買取が安心して売却できるのではないでしょうか。
また内見が1度でよく、荷物もそのままの状態で買い取ってもらえれば、遠方の実家売却の特殊要因をすべてカバーできる方法です。ただし、デメリットである市場価格より安くなってしまう点が許容できればという話になります。
仲介のメリット・デメリット
仲介による売却のメリットとデメリットは次のとおりです。
仲介による売却のメリットとデメリット | ||
メリット | ・市場価格で売れる可能性がある ・宣伝費用をかけて広告宣伝してもらえる | |
デメリット | ・内見は不定期、その都度対応 ・いつ売れるかは不確定 ・荷物を片づける必要がある ・3ヶ月程度の契約不適合責任を負うことが一般的 |
市場価格で売却をしたい場合には仲介による売却を選びましょう。
時間がかかるかもしれませんが、チャレンジする価値はあります。
但し実家が遠方の場合には、内見の対応に時間と手間がかかること、実家の不具合をしっかり把握することが大切です。
仲介と買取どちらが良い?
結論、ケースバイケースで一概に仲介が良い、買取が良いと言うことはできません。
時間がかかっても市場価格での売却を狙うのであれば仲介での売却をおすすめします。
不定期に内見依頼が入るので、その都度都合をつけられることや実家の不具合をしっかりと把握することが大切です。
そして仲介で一定期間売れない場合のために不動産買取保証を併せて検討するのがよいでしょう。
スピーディーに手離れ良く現金化したい場合には、不動産買取をおすすめします。
買取価格に納得できれば取引は早くて1週間前後、長めに見ても1ヶ月あれば不動産買取は完了できるでしょう。
売れない!田舎の実家の処分方法
仲介での売却活動を行っているものの、なかなか売れない場合や内見依頼も入らない場合には、不動産買取を検討しましょう。ただし全ての物件が不動産買取で売却できるのかと聞かれれば、答えは✕です。
もしも仲介で売れない、不動産買取も断られてしまった場合には次の方法で実家を手放すことが可能です。
実家のお隣さんに声をかける
お隣さんに実家を売却する予定であることを伝えてみましょう。
敷地を広げたいと考えている近隣の方がいるかもしれません。
個人築古不動産の投資家に売る
個人で郊外、地方の古い物件を購入し、自らリフォームを行い賃貸に出す人達がいます。
いわゆる築古不動産投資家です。
築古不動産投資家は不動産業者を通して物件を買うこともありますが、個人売買のポータルサイトで物件を探す人達も少なくありません。例えば「家いちば」は個人間取引のマッチングサイトです。
さらに物件情報を求めtwitter などのSNSで物件募集をかけている人達もいるので、声をかけてみるのもひとつの手です。
みんなの0円不動産
住まない実家だけ相続放棄したいと考えている場合には「みんなの0円不動産」がおすすめです。
インターネットを介して不動産を譲り受け隊人とのマッチングが可能です。
みんなの0円不動産の実績は掲載物件の成約率8割超と多くの掲載不動産が成約しています。契約や名義変更登記のサポートを受けることも可能です。
寄付する
個人や法人へ不動産を贈与する方法です。個人に贈与をした場合には贈与を受けた側は、贈与税がかかるケースがあります。不動産の評価額から110万円(基礎控除)を引いた額に下記の税率で贈与税が課税されます。
また一般企業への贈与は、みなし譲渡所得税が贈与する側に課税されますので注意が必要です。
なお、公益法人に寄付をする場合は、所定の手続きを経ることで、みなし譲渡所得税は課税されません。贈与を具体的に検討する場合は、まず税理士に相談することをおすすめします。
自治体に寄付する
個人や法人ではなく自治体に不動産を寄付する方法です。
実家のある市区町村に寄付の相談をすると、市区町村は実家の調査をし、寄付受付の可否が決定します。
ただし、不動産所有者から納税される固定資産税は市区町村にとって貴重な税収です。
寄付を受けることでこの税収が減り、さらに不動産の管理費用がかかるため、原則、不動産の寄付を簡単には受け付けてくれません。
相続土地国庫帰属制度を使う
相続で引き継いだ不要な土地を国に引き取ってもらう制度が2023年4月27日からスタートしました。
制度名のとおり、相続で取得した土地が対象で建物がは対象外のため、更地にする必要があります。
その他、条件的に厳しいものも多く、どんな土地でも手放せるわけではありません。また審査費用(土地1筆14,000円)と負担金が必要です。
実家に帰るか迷っている場合
この機会に田舎の実家に帰ろうと考える人もいるかもしれません。
田舎の実家を引き継ぎ、実家で暮らしていく場合の注意点を紹介します。
遺産分割について
遺産である実家を引き継ぐ場合には、相続人同士で遺産の分け方をきめる遺産分割の方法を慎重に検討する必要があります。
実家以外に遺産がない場合では、相続人の1人が実家を相続し実家に住む場合、他の相続人が自分の相続分の主張をしてくることも当然考えられます。実家以外に預貯金があっても注意が必要です。
例として故人が2,000万円相当の実家と預貯金1,000万を遺し相続人である子ども2人が遺産を分割するケースで考えてみましょう。
このケースでは代償分割という遺産の分割方法で遺産を分けるのがベストです。
不動産を相続した場合の分割方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
リフォームの必要性
築30年を超えるような実家を引き継いで住む場合、快適に暮らすにはリフォームが必要になるでしょう。
さらに築年数の古い実家は、耐震性や断熱機能が低い場合があります。
実家を引き継ぎ、長く安全に快適に暮らしていくためには、性能を改善するためのリフォームも視野に入れその費用も考慮しておきましょう。
冷暖房費も考慮する
実家のある地域にもよりますが、冬の寒さによる暖房費についても考慮が必要です。
というのも、実家が古い木造家屋の場合には気密性・断熱性が低いことが多く、現在の戸建と比べても寒さを感じるものです。
特に今マンションに住んでいる人が田舎の戸建の実家に帰るとその寒さに驚くことでしょう。
性能リフォームを行わない場合には、冷暖房費が思いのほかかかることにも注意が必要です。
仕事・近所づきあい・人の関係性の違い
長く故郷を離れていると、いくら故郷と言ってもまわりの人達にうまく馴染めないといったことも起こる可能性はあります。
また家族がいる場合には、自分は馴染めても家族が馴染めない可能性もあります。
特に閉鎖的な地域の場合には注意が必要です。
また故郷に戻って仕事をしようと考えている場合には、都会に比べ求人そのものが少ないのでなかなか仕事が決まらず後悔してしまう可能性もあることは考慮しましょう。
現在の仕事がリモートワークができる業種なら有利ですね。
車の維持費も考慮
田舎で暮らして行くには車が必須になることが多いでしょう。
都会に住んでいれば必要の無い車の購入費用・維持費についてもわすれず考慮しましょう。
実家に戻る前にデュアルライフがおすすめ
今の生活環境を抜け、実家を引き継ぎ故郷で快適に暮らしていくためには、様々な考慮すべき点がありますね。
まずは実家を別荘化して1~2年程度、2拠点生活をしてみることをおすすめします。
生活に馴染めそうか、人間関係は窮屈ではないか、仕事はありそうかなどこの期間に判断をしていくと安心ですね。
公共料金の費用などが2カ所分必要になってしまうデメリットはありますが、後悔しないための保険費用と考えれば高くはない保険になるはずです。
まとめ
田舎の実家を相続した場合、だれも住まない・使わない場合には売却することをおすすめします。
その際の売却方法には次の2つの売却方法があります。
- 仲介による売却
- 不動産買取による売却
どちらの売却方法が良い悪いではなく、実家の立地や建物の状況、現金化までの希望期間などを今一度洗い出し、どちらが向いている売却方法なのかを選ぶ事が重要です。
不動産買取が向いていると思う方は、こちらの実家じまいに向く不動産買取業者を参考にしてください。
時間がかかっても、市場価格での売却を狙いたい場合には、仲介での売却を進めましょう。
実家じまい、田舎の実家売却に向いている不動産会社はこちらの記事を参考にしてください。
実家の固定資産税の負担や管理の面倒を避けるためだけに相続放棄をすることはおすすめできません。
相続放棄を選択した方がよいケースはつぎのとおりです。
- プラスの遺産でも払えない額の借金がある場合
- プラスの遺産でも払えない程の滞納している家賃がある場合
- プラスの遺産でも払えない程の金銭債務の保証人になっていた場合
- 故人がプラスの遺産でも払えない程の損害賠償債務を負っていた場合
- 複雑な親族関係などで相続しなくてもいい位に関わり合いを持ちたくない場合
上記のような理由がなく、実家をもてあましているため手放したい場合には不動産買取をおすすめします。
不動産買取のおすすめ優良買取業者はこちらの記事で詳しく解説しています。
これを機会に故郷に戻り実家を引継ごうと考える方は、実家を別荘化して一定期間2拠点生活をすることがおすすめです。