遺品整理が100万円と聞くと驚いてしまう人も多いでしょう。
遺産整理のサービスはまだ登場して10年程度の新しいサービスのうえ、遺産整理は何度も行うものではないため、出された見積もりが妥当なのか判断がつきにくいものです。
しかし、それをいいことに、ボッタクリ費用を請求する悪徳業者も残念ながら存在します。
そこで、本記事では遺品整理に関する次の内容を解説します。
- 一軒家の遺品整理の費用相場
- 遺品整理費用が高額になる8つの要素
- 遺品整理の費用は誰が払うもの?
- 遺品整理業者に頼んだ場合、形見分けはできる?
- 遺品整理の際に心付けって必要なの?
- 不当な高額請求を回避するコツ
- 優良な遺品整理業者の見極め方法
記事後半では万が一トラブルになってしまった場合の相談先もご紹介します。
親の遺品を乱暴に扱われたり、二束三文で買取りされるのも避けたいですよね。遺品整理に慣れている人はいません。
ぜひ本記事を参考にして頂き、優良な遺品整理業者選びにお役立てください。
【実家の片付け100万円!】遺品整理の見積り衝撃例
それでは早速、遺品整理業者に見積り依頼した人の経験談を見てみましょう。
【体験談1:平屋の遺品整理で130万円】
平屋は2階、3階建ての料金より安くなることが一般的なので、高く思えてしまいますね。でも足の踏み場のない荷物量なら仕方ないのかもとも思ってしまいますね。
【体験談2:プロはさらっと100万円を宣言】
訪問見積りをされているので、ザックリでも実際100万円前後の請求が来るのでしょう。複数業者の見積り依頼は必須ですね。
一軒家の遺品整理の費用の相場は?
ここからは株式会社LIFULLsenior(ライフルシニア)が運営するみんなの遺産整理に記載されている遺品整理業者の費用相場を確認していきましょう。
2023年1月時点で、みんなの遺品整理に掲載されている800社以上の業者ホームページ、3万人以上の利用データから算出された費用相場になります。
【一軒家の費用相場 2023年1月20日時点】
出典:遺品整理業者の費用相場と作業時間|みんなの遺品整理
4LDK以上の費用相場のMAXは60万円、時間にして15時間程度が最大かかる時間となっているので、2日もあれば完了する計算です。
あくまで、相場をまとめた表ですので、特殊清掃が必要な場合やゴミ屋敷のような状態だと相場に費用加算されます。
相場をある程度頭に入れておくと、高め、良心的、ボッタクリの判断がつきやすいですね。
100万円は妥当?遺品整理が高額になる8つの要素
遺品整理の相場を確認しましたが、同じ間取りであっても費用の相場には幅があります。この相場の幅は、次の様な要素によって生じます。
ここから8つの高くなる要素について解説します。
遺品の量
荷物が多ければ当然作業時間が増えますし、作業人数も増えることでしょう。荷物を運搬するトラックの台数も変わってきます。
また大型家具や家電など粗大ごみが多い場合にもゴミ処理費用がかさむため、費用が高くなります。
部屋の数が多い
部屋数が増せば比例して荷物やゴミが増えることが多いため、部屋数が増えれば、費用も高くなることが一般的です。
建物の構造・搬出経路
荷物やゴミの搬出経路も費用に影響を与えます。
たとえば、階段が狭く、大型の家具・家電等が運び出せない場合には、吊り下げて家具を搬出することになります。
このような作業が発生すれば費用は高くなります。
周囲環境・建物の立地
周辺環境や建物の立地も遺品整理の費用に関係します。
トラックが近くに停められるかや、マンションで作業する場合のエレベーターの有無は、作業の労力と作業時間に影響を与えるため費用も変わってくるのです。
特殊清掃が必要
孤独死などで特殊な清掃が必要になる場合には、費用が加算されることが一般的です。
ゴミ屋敷
ゴミ屋敷のように足の踏み場がない場合には、作業時間がかかるため費用が加算されることが一般的です。
希望の作業日
急な依頼や、週末の作業依頼をすると費用が高くなる場合があります。
人員や運搬するトラックを調整しなくてはならないため、依頼は幅を持たせてすることが費用を高くしないコツになります。
悪徳業者
荷物の量が一般的な量なうえ、特殊な事情がないのに高額な見積りの場合には、単なるぼったくり業者の可能性があるでしょう。
ところで遺品整理の費用は誰が払うの?
遺品整理の費用の相場観が分かったところで「いったい誰がこの費用を払うの?」と疑問に思う人も少なくないでしょう。
今から4つの支払方法をご紹介します。
あなたはどの方法が正解だと思いますか?
- 遺品整理を依頼した相続人が払う
- 相続人の人数で等分して払う
- 各相続人が法定相続分の割合で払う
- 相続財産から払う
いかがでしょうか。
実は、遺品整理の費用の負担については法律でも定められていません。
つまり正解はないのです。
それでは、それぞれの支払い方法を詳しく解説します。
【遺品整理の費用負担の方法1】遺品整理を依頼した相続人が払う
遺産分割の内容や割合にかかわらず、遺品整理を依頼した相続人が支払う方法です。
依頼した相続人が納得して支払うのなら問題はありませんが、不公平感は生まれやすいですね。
【遺品整理の費用負担の方法2】相続人の人数で等分して払う
費用を単純に相続人の人数で等分して支払う方法です。
平等なように思えますが、遺産分割の内容や、法定相続分が考慮されないため、実は不公平であったりします。
【遺品整理の費用負担の方法3】各相続人が法定相続分の割合で払う
各相続人が法律で定められた相続分の割合で支払う方法です。
ただし法定相続分と異なる割合で遺産分割協議が成立していた場合には、実質的に負担が大きくなる相続人、負担が少ない相続人が生じます。
【遺品整理の費用負担の方法4】相続財産から払う
相続財産から費用を支払う方法です。最もシンプルな形ですが、そもそも現預金が遺されていない場合はこの方法はとれません。
また預貯金口座は遺産分割協議が成立し、金融機関にて手続きをし、一定期間が経過しないと動かすことができません。そのため、一旦は立て替えて、後日精算することになります。
遺品整理業者への心付けは必要?
遺品整理業者の作業日に心付けが必要なのか、他の人はどうしているのか気になる人も少なくないでしょう。
心付けを渡す、渡さないは、特にきまりもないため、人それぞれの考えによるとしかありません。
でも気になりますね。気持ちの問題ではありますが、私は割と渡したがりなので、お昼代程度の心づけを渡します。
心づけを渡すのは作業をしてれる人数分、それぞれにポチ袋に入れて作業前に「これからよろしくお願いします」という気持ちで渡します。
お昼代で何かが変わるわけではありませんが、もし自分が作業をする側なら、より一層張り切って作業をします。もちろん、人それぞれの考えがあるので、渡すのも渡さないのも正解はありませんし、自分の考えで決めてしまえば大丈夫です。
遺品整理依頼時のデータではないのですが、引越し依頼時の心付けに関するデータをご紹介します。
- 調査エリア:全国
- 調査方法:インターネットアンケート
- サンプル数:2840件
- 調査時期:2014年12月~2015年1月
出典:引越し作業員に差し入れは渡す?|株式会社引越し侍
心付けを渡した人の割合は、ファミリー層で25%(心付けと差し入れ両方した人を含む)単身の場合で16%です。
また心付けのランキングに関しては、心付けの総額となっています。お昼代、飲み物代くらいの金額で渡すのが負担もなく良いでしょう。
心付けは個人の自由、気持ちであることは大前提ですが、参考になさってください。
遺品整理業者に依頼した際の形見分け
遺品整理業者に依頼した場合、形見分けはできるのでしょうか。
形見分けという言葉はしっていても、実際どのようなもので、どのタイミングで行うのか答えられる人はそれほど多くないかもしれません。
一緒に確認しましょう。
形見分けとは?
そもそも形見分けとは、故人の大切にしていたものを「形見」として親族や親しい人に分ける日本独自の風習です。
形見分けはいつ行う?
形見分けはどのタイミングで行えばいいのでしょうか。
特に決まりはありませんが、形見分けの前に遺産分割を終え、資産的価値が残っていない状態で形見分けを行います。
- 仏教では四十九日の法要を終えた後
- 神道では三十日祭または五十日祭と呼ばれる霊祭後
- キリスト教では逝去から30日後の追悼ミサ
上記で挙げたタイミングなどで、行うことが一般的です。
形見分けを行う際の注意点は?
形見分けを行う際は次の点に注意しましょう。
目上の方には形見の品を贈らない
形見分けは目上の方にはしないのが本来の風習です。
しかしながら、現代では目上の方から申し出がある場合などは形見分けをするようになっています。
資産的価値が高いものは贈与税が発生する可能性あり
資産的価値があるものを形見分けすると、贈与税が発生する可能性があります。
形見を贈られた側の負担になるため、資産的価値があるものは形見分けとして贈らぬよう注意しましょう。
ただし年間110万円までは贈与税は非課税となるため、贈与税が発生するケースは多くはないでしょう。
相続放棄をする場合には形見分けは要注意
相続放棄を検討している場合には、形見分けには注意が必要です。
資産価値のあるものを形見分けとして受け取ることや、親しい人へ形見分けを贈ることで、相続放棄が認められなくなる可能性があります。
極力、形見分けにはタッチしない、もしくは弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。
業者に依頼する場合は形見分けの品は別の場所に保管
遺品整理業者に片付けを依頼する場合には、形見分けの品は必ず事前に他の場所で保管をし、処分されることがないように注意しましょう。
不当な高額請求を回避するコツ
遺品整理の見積りが100万円だったとしても、全てが適正でないとは言い切れません。特殊な事情により料金が割高になることは一般的にあり得るためです。
ここからは、不当な高額請求を回避するコツについて解説します。
複数業者に見積もりを取る
一番有効な方法は、複数の業者に見積りを依頼することです。
最低でも3件の業者に見積りを依頼しましょう。3社の見積もりがあれば、実家の遺品整理の相場感がつかめます。
面倒でも訪問での見積りを依頼することをおすすめします。
見積り内容をよく確認
見積りを受け取ったら、内容をよく確認しましょう。
- 作業内容が明確か
- オプション費用がかかる場合はその費用は明確か
- キャンセルの規定はあるか
などを確認しましょう。
また当日見積もり金額以上に費用が掛かることがあるか確認をすることも重要です。
契約書を発行してくれるか・キャンセル規定を確認
遺品整理はまとまったお金のかかるサービスです。契約書を発行する業者に依頼をするようにしましょう。
契約書がない場合、当日作業の際に追加料金を請求される可能性もあるため注意しましょう。
見積り時には一人で対応しない
悪徳業者の中には、訪問見積りの際に、しつこく勧誘をしてくる業者もいるため、訪問見積りの際は、男性の親族等にも立ち会ってもらうのがベストです。
優良な遺品整理業者の見極め方法
一般廃棄物収集運搬許可業者・許可業者と連携している業者か
遺品整理を行い遺品を処分するためには、一般廃棄物収集運搬許可を取得するか、一般廃棄物収集運搬許可業者と連携している必要があります。
この許可を取得している業者の多くは、業者のホームページに表示されていますので、確認しましょう。
一般廃棄物収集運搬許可業者でもなく、連携もしていない業者に依頼すると、最悪遺品を不法投棄される可能性もあります。
ネットでクチコミを確認
インターネットで遺品整理業者の口コミを確認するのも、優良業者を見極めるのに役立ちます。
ホームページ、Twitterなどでその業者の方針や企業理念などもチェックしてみるのも良いでしょう。
会社の固定番号がある方が安心
見積書や契約書、ホームページ等に会社の所在地や電話番号の記載があることを確認しましょう。
電話番号は固定電話だとより安心です。
遺品整理費用を安くするためのワザ
遺品整理の費用を少しでも安くしたい!そんな時は次の方法を試してください。
事前に片付け・不用品を処分する
自力でできる範囲で、事前に物の片付け、不用品の処分を行いましょう。
不用品の処分は、自治体運営のゴミ処理施設に持ち込めば、格安なうえ、その日に処分をすることができます。
ゴミ処理によって取り扱うゴミの種類が異なるため、事前に電話、ホームページで確認するようにしましょう。
希望日程に幅を持たせる
急ぎの依頼の場合は、費用が割高になることがあります。
逆に希望日程に幅を持たせることで費用を抑えることができることもありますので、日程に幅を持たせて見積りを取ってみましょう。
美術品や骨董品は専門業者に買取依頼をする
美術品や骨董品などは、専門業者じゃないと価値を正確に見極めることが難しいものです。
適正な価格で買い取ってもらえる業者に依頼をしましょう。
複数業者に見積もりを取る
やはり遺品整理を安く抑えるためにも、複数業者から見積りを受けることを強くおすすめします。
ただし、他の業者よりずば抜けて見積りが安い場合には、当日に費用を加算されることはあるのか、必ず確認するようにしましょう。
訪問見積りを依頼すれば、業者の対応も直接確認できるので、後悔をしない業者選びに役立ちます。
万が一トラブルになってしまったら
しつこい勧誘や横暴な振る舞いをされた場合は警察
作業員に高額な請求をされ、横暴なふるまいを受けた場合には警察に連絡しましょう。
緊急性がない場合には警察相談専用電話#9110で相談をしましょう。
契約日から8日以内であればクーリング・オフ
クーリング・オフとはサービスの契約や商品の購入から一定期間内であれば、無条件かつ一方的にサービス解除や商品購入を撤回できる制度です。
遺品整理の依頼もクーリング・オフが利用できる場合があります。契約書を受け取った日を含めて8日以内に発送(発信)する必要があります。
次に紹介する消費生活センターになるべく早く相談してみましょう。
消費生活センターに相談
遺品整理の相談を含めた消費者問題に関しては消費生活センターに相談ができます。
消費者ホットライン188(局番なしの188)へ連絡すれば、最寄りの消費生活相談窓口を紹介されます。
ただし消費生活センターでは相談に乗りアドバイスをしてもらえるものの、実際に何か具体的に業者に対応してもらえるわけではないので、注意しましょう。
弁護士に相談
国民生活センターや消費生活センターに相談をしたものの、問題が解決に進まないことも少なくありません。
国民生活センターなどは、相談は受けてもらえアドバイスも受けられますが、具体的に何か対処をしてもらえるわけではないからです。問題解決を任せたい場合には、弁護士に相談することをおすすめします。
また争う金額が140万円以下の消費者問題には認定を受けた司法書士も対応が可能です。
いずれにしても、消費者問題に強い専門家を選ぶことが重要です。
・弁護士会 法律相談センター:ネットで予約可能30分5500円
・司法書士総合相談センター|日本司法書士連合会:無料面談
まとめ
100万円の遺品整理費用と聞くと驚いてしまいますが、全てが不正な高額請求ではなく、適正である場合もあります。
相場観や費用が高額になる要素を知っていれば、適正なのか、ボッタクリなのか判断がつきますね。
本記事ではできるだけ費用を抑えるためのコツも紹介しましたので、ぜひ参考にしてください。また業者により見積り額は大きく変わることも少なくありません。
不用品回収の見積りを私が実際に依頼した際にもかなり見積り金額はバラバラでした。→不用品回収の実際の見積もりはこちら
記事中にしつこく繰り返しましたが、ボッタクリ被害に合わないためには次の点に注意が必要です。
- 複数業者に訪問見積りを依頼する(最低3社)
- 訪問見積りの際は、可能なら複数で対応する
訪問見積りの際に、慌てて契約をしないこと、不明点はしっかり質問をすることが重要です。