不動産売却時の必要書類は?【一覧表付き】で宅建士・元司法書士が解説

不動産売却 必要書類

不動産の売買に必要な書類は普段は目にすることがないものが多く、名前も似たようなものが多いものです。そこで本記事では、個人が不動産を売る際の必要書類をタイミング別に解説します。

成年後見人が不動産を売るとき

法人(会社)が不動産を売るとき

海外居住者が不動産を売るとき

なども記事後半で解説します。ダウンロードできる不動産売却・必要書類一覧表も作りましたので、ぜひご活用ください。

目次

不動産売却の必要書類と取得方法をタイミング別に徹底解説

不動産の売主には、普段は見慣れないものの重要な数々の書類が必要になります。ここからは、代表的なタイミング別必要書類と取得方法を解説します。

  • 訪問査定時に必要な書類

  • 媒介契約時に必要な書類
  • 売買契約時に必要な書類

  • 引渡し日に必要な書類

タイミング別に確認していきましょう。

〇必須の書類

△あるとベターな書類

✖不要

訪問査定時に必要な書類

不動産を売るときには、不動産会社に訪問査定をお願いすることになります。

このタイミングで必須の書類、あるとベターな書類について解説します。

  • 登記識別情報・登記済権利証
  • 身分証明書(本人確認書類)

  • 登記事項証明書(登記簿謄本)

  • 公図
  • 地積測量図・建物図面・各階平面図

権利証以外の書類は、不動産購入時にファイルにまとめられ渡されてることが多いので、ファイルを探すことをおすすめします。

訪問査定時に必要な書類のうち権利証・登記識別情報以外は、不動産会社でも取得が可能なため相談してみるとよいでしょう。

登記識別情報通知または登記済権利証

以前は不動産を購入すると登記済権利証が発行されていましたが、2005年より登記識別情報通知が導入されました。

どちらも「権利証」と呼ばれることが多いでしょう。権利証はこのタイミングでは、提示で足ります。

登記識別情報通知または登記済権利証はなぜ必要

権利証は、その不動産の所有者でなければ所有していません。

権利証を提示することで、訪問した仲介会社の営業マンは、依頼者がたしかに不動産の所有者であると確認できるのです。

出典:高知県司法書士会

登記識別情報通知・登記済権利証の取得方法

登記識別情報通知や登記済権利証は、不動産取得時の所有権移転登記が完了した時点で受け取っているべき書類です。

当時の登記申請時に、司法書士が入っていた場合には、通常簡易書留で郵送されてきているはずです。

紛失してしまった場合の対処方法は、後ほど解説します。

身分証明書(本人確認書類)

訪問査定時には、売却の依頼者本人であることを不動産会社に証明するために身分証明書を提示します。

必須ではありませんが、掲示されれば営業マンも安心して査定にはいることができます。

登記事項証明書(登記簿謄本)

登記事項証明書(登記簿謄本)は、不動産の現況や、権利関係が記載された証明書です。

このタイミングではあるとベターな書類です。

不動産会社でも取得可能な書類のため、査定に訪れる不動産会社に訪問前に相談してみましょう。

登記事項証明書(登記簿謄本)はなぜ必要?

登記事項証明書は、不動産の所在、地番、土地の地積や地目、建物の構造や床面積などが記載され、現在の所有者やローンの概要などの権利関係も確認できる書類です。

これから査定をする不動産の概要を把握するために必要な書類です。

登記事項証明書(登記簿謄本)の取得方法は?

全国の最寄りの法務局で取得が可能です。

平日8時30分〜17時30分までに法務局に行けない場合には、郵送やオンラインでも請求することが可能です。

公図(土地や戸建を売る場合)

公図とは、土地の地番や接道状況の把握ができる地図で、法務局が管理をしています。

公図も必須ではありませんが、あればベターな書類です。

出典:土地・建物の地図・図面|盛岡法務局

公図はなぜ必要

土地の査定をする際に、土地のおおまかな形状や接道、隣接地との位置関係を確認するために必要になります。

公図の取得方法

全国の最寄りの法務局で入手できます。法務局の開庁時間に行けない場合は、郵送やインターネットでの取得も可能です。

地積測量図・建物図面・各階平面図

地積測量図は、土地の形状や地積、隣地との境界を示す図面です。

建物図面は、建物の形状や敷地との位置関係、各階平面図では各階の形状や床面積、求積方法が示されています。

訪問査定時に必須の図面ではありませんが、あればベターな図面です。

出典:土地・建物の地図・図面|盛岡法務局

地積測量図・建物図面・各階平面図はなぜ必要?

査定をするにあたって、土地の接道や地積、建物の詳細を把握するために必要です。

地積測量図・建物図面・各階平面図の取得方法

これらの書類は全国の最寄りの法務局で取得できます。

開庁時間に法務局へ行けない場合には郵送・インターネットで取得できますが、不動産会社でも取得が可能なため相談をしてみましょう。

出典:土地・建物の地図・図面|盛岡法務局

媒介契約時に必要な書類と取得方法

査定後に、売却を依頼する不動産会社と結ぶ媒介契約。その際に必要な書類は以下のとおりです。

訪問査定時に提示した書類も媒介契約の際は持参しましょう。

  • 登記識別情報・登記済権利証
  • 身分証明書(本人確認書類)

  • 地積測量図・境界確認証

  • 間取図
  • 建築確認済証/検査済証(戸建の場合)

  • マンションの管理規約

  • 販売時のパンフレット・チラシ広告

  • 耐震診断報告書/アスベスト使用調査報告書

  • 建築設計図書・工事記録書

  • 地盤調査報告書・住宅性能評価書・既存住宅評価書

  • 住宅ローンの償還表

持参必須の書類と、必須ではないものの用意できるとベターな書類がありますので、それぞれ確認していきましょう。

登記識別情報通知・登記済権利証

先にも触れましたが、登記識別情報または登記済権利証は売却物件の所有者であることの証明です。

媒介契約時には、不動産会社側でコピーを取ることが多いでしょう。

また売却が決まった際には、担当司法書士にコピーをみせ、売却物件の権利証で間違いないか等を確認してもらいます。

身分証明書(本人確認書類)

媒介契約時には、売却の依頼者本人であることを不動産会社に証明するために身分証明書を持参します。

共有で所有している不動産の場合には、共有者全員の身分証明書が必要です。

身分証明書はなぜ必要?

不動産会社は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」にもとづき、媒介契約を結ぶ際には、売主の本人確認が必須です。

この本人確認の際に、身分証明書が必要です。

身分証明書の本人であることを確認するために、顔写真入りの公的な身分証明書(免許証・マイナンバーカード・パスポート等)が必要です。

身分証明書(本人確認書類)がない場合はどうする?

顔写真つきの公的な身分証明書がない場合には、事前に営業マンに相談をしましょう。

なお、最終的な不動産の引渡し時までにマイナンバーカードを作成することをおすすめします。

なぜなら、引渡し日には登記申請にあたり司法書士による本人確認があるからです。

この本人確認は原則、公的な顔写真入りの身分証明書ですることと、法で定められているためです。

身分証明書は有効期限が残っているもののみが身分証明書として使えますので、期限の確認を忘れずにしておきましょう。

地積測量図・境界確認書

土地の地積(面積)や隣地・道路との境界の位置を示す書類です。

しかし、そもそも地積測量図が作成されていない土地や、昔に測量されたため精度の低い測量図の場合には、買主によっては新たに地積測量図を求められることがあります。

境界確定書とは、隣地との境界が確定していない場合に、測量を行い確定した境界を証明する書類です。

地積測量図・境界確認書はなぜ必要?

未然に隣地との境界トラブルを防ぐために必要になります。

買主としては境界のわからない土地・戸建は隣地トラブルの不安があるため、これらの書類があれば安心材料となります。

地積測量図・境界確認書の取得方法

地積測量図は、全国の最寄りの法務局で取得可能です。また郵送やインターネットでの取得もできます。

境界確認書については公的に管理される書類ではなく、確定測量後に土地家屋調査士が作成し、依頼者と隣地の所有者が1部ずつ保有します。

間取図

不動産会社が物件情報をネット上やチラシなどに掲載する際には、間取図も併せて掲載します。売却活動をスムーズにスタートするために必須の書類です。

マンションであれば間取図でこと足りますが、戸建の場合は土地の形状のわかる書類があるとよりベターです。

間取図は媒介契約時になぜ必要?

間取図のない物件情報を宣伝しても、購入希望者の目を引くことはできません。

そのために、購入希望者に興味を持ってもらうためにも間取図を掲載する必要があります。

間取図の取得方法

物件購入時のファイルをまず確認しましょう。見つからない場合には、営業マンに相談するとよいでしょう。

マンションの室内の間取りは、管理会社が保管しているため、管理会社に確認すると良いでしょう。

戸建の間取り図は、建築時のハウスメーカに確認すると、保有しているケースもあります

建築確認済証・検査済証(戸建の場合)

建築確認済証も検査済証も、その建物が建築基準法に適合しているかを証明する書類です。

建築基準法に適合していない建物は、買主が住宅ローンを組む際に不利になるため、手元にある場合は持参します。

書類名何を証明しているか
建築確認済証建物の建築計画が建築基準法に適合していること
検査済建築中や建築完了後の建物が建築基準法に適合していること

建築確認済証・検査済証はなぜ必要?

違法建築物ではないことを証明するために必要になる書類です。

建築確認済証・検査済証の取得方法

物件購入時に建築確認済証・検査済証を受け取っているはずです。

もし紛失してしまった場合、役所で「台帳記載事項証明書」を発行してもらいましょう。

マンション管理規約・使用細則

マンションには、管理組合により定められた管理規約(ルール)があります。

管理規約には、管理費や積立金、共有部分の範囲や禁止事項等のルールが記載されており、マンションの憲法ともいわれています。

マンション管理規約・使用細則はなぜ必要?

たとえばペットの飼育ができるマンションを探している買主候補は、マンション規約を確認すれば、そのマンションでペットを飼うことができるのか判断することができます。

買主候補の実現したい暮らしができるのかを判断するためにも必要となる書類です。

マンション管理規約・使用細則の取得方法

マンション購入時に受け取っている書類です。紛失してしまった場合には、管理組合や管理会社に連絡すれば、入手可能です。

販売時のパンフレット・チラシ広告

マンションや戸建を販売する時に物件の魅力をアピールするためにデベロッパーやハウスメーカーが作成したパンフレットやチラシ広告です。

パンフレット・チラシ広告が手元にある場合は、仲介会社に渡しましょう。

必須ではないものの、あるとベターな書類です。

販売時のパンフレット・チラシ広告は媒介契約時になぜ必要?

販売時のパンフレットは、物件の特徴や魅力をアピールするために作成されています。

仲介業者がより効果的な販売活動をする際に、あるとベターな書類です。

販売時のパンフレット・チラシ広告の取得方法

物件購入時に受け取っているはずなので、購入時に渡されたファイルを確認してみましょう。

耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書

昭和56年5月31日以前に旧耐震基準において設計された、耐震性能を有していない建物を現在の耐震基準と比較判定した結果を記したものが耐震診断報告書です。

アスベスト使用報告書は、アスベスト使用調査が行われている場合には、アスベスト使用調査報告書を提示します。

ただし、アスベストの使用調査は義務ではないため、調査が未実施の場合にはそもそも報告書は不要です。

耐震診断報告書・アスベスト使用報告書はなぜ必要?

旧耐震(昭和56年5月31日以前に建築された建物)の建物は、耐震診断報告書により耐震基準を満たしていれば「耐震基準適合証明書」が取得できます。

旧耐震の住宅は、原則として住宅ローン控除の要件を満たせませんが、「耐震基準適合証明書」が取得できれば住宅ローン控除が受けられるメリットがあります。

この点は買主にとって大きなメリットになるため、耐震診断報告書で耐震基準を満たすことが証明されていることは重要な意味を持ちます。

無いと売れない訳ではありませんが、あるとベターな書類です。

またアスベストが使用されている建物の解体は解体費用が高額になるため、アスベスト使用報告書でアスベストの不使用がわかれば、買主にとっては安心材料となります。

耐震診断報告書の取得方法

調査をした機関から発行されます。

建築設計図書・工事記録書

建物の工事に使用される設計図と仕様書を建築設計図書と呼びます。

実際に行った工事の詳細な内容を記録したものが工事記録書です。必須の書類ではありませんが、あるとベターな書類です。

建築設計図書・工事記録書はなぜ必要?

特に戸建の場合、建物がどんな過程で設計・建築されたかがわかるため、買い手は安心感を持つことができます。

またリフォームを行う際にも役立つ書類です。

仲介業者にとっては売却物件の詳細を確認することができます。

建築設計図書・工事記録書の取得方法

一般的には、物件購入時に渡されている書類です。

もし手元になければ、施工会社、建築士事務所などに問い合わせをして取り寄せましょう。

ただしこれらの書類の法定保存期間は15年なので、それより前の書類は取り寄せはできない可能性があります。

地盤調査報告書・住宅性能評価書・既存住宅評価書

地盤の強さや形状の調査結果、地盤調査会社の調査結果の意見がまとめられたのが地盤調査報告書です。

住宅性能を公平な立場で評価、結論が記載された住宅性能評価書、既存住宅評価書は、地盤調査報告とともに、あるとベターな書類です。

地盤調査報告書・住宅性能評価書・既存住宅評価書はなぜ必要?

このような第三者機関からの報告書や評価書があることで、仲介業者や買主候補を安心させることができるでしょう。

地盤調査報告書・住宅性能評価書・既存住宅評価書の取得方法

調査や評価をした機関から交付されている書類です。

失してしまった場合、調査や評価をした機関で再発行が可能です。

ローン償還表・住宅ローンの残高証明

売却不動産の住宅ローンを返済中の場合、金融機関から定期的に送付される住宅ローンの償還表(住宅ローンの返済予定表)。

また年に1度10月くらいに郵送されてくるのが、ローン残高証明書です。

出典:証明書の発行|三井住友信託銀行

住宅ローンの償還表はなぜ必要?

不動産の売却にあたり、売却代金でローンを完済できるのか、自己資金を足して完済できるのか等を判断する時に提示を求められます。

住宅ローンの償還表の取得方法

ローンの償還表は定期的に郵送されてきます。残高証明書は毎年1度10月頃に郵送されます。

紛失してしまった場合は、金融機関に再発行を依頼できます。

販売期間中に必要な書類と取得方法

媒介契約時に間に合わなかった書類は売却期間中に用意をしましょう。

  • 重要事項調査報告書
  • 固定資産税・都市計画税納税通知書

それぞれ解説します。

重要事項調査報告書(マンションのみ)

重要事項調査報告書はマンションを売る際に必須の書類です。

マンションの管理費・修繕積立金の状況や、大規模修繕の実施状況や計画・見通しなどマンションに関する重要事項をまとめた書類です。

重要事項にかかわる調査報告書はなぜ必要?

重要事項調査報告書の内容は、仲介業者が買主に説明する「重要事項説明書」へ記載すべき内容が多いため、提出する必要があります。

重要事項にかかわる調査報告書の取得方法

営業マンからマンション管理会社へ発行依頼をしてくれるため、特に売主として取得する必要はありません。

固定資産税・都市計画税納税通知書

所有不動産にかかる税額が記載されているのが固定資産税納税通知書です。

固定資産税・都市計画税納税通知書はなぜ必要?

不動産売却の際の固定資産税、都市計画税は、引渡し日を基準に売主・買主で日割り計算で精算します。

その税額の計算のために必要になります。

固定資産税・都市計画税納税通知書の取得方法

不動産所有者には毎年春に不動産のある市区町村役場より郵送されます。

手元にない場合には、同役所で再発行が可能です。

売買契約時に必要な書類と取得方法

売買契約時に必要な書類は次の書類です。

  • 印鑑証明書と実印

  • 固定資産税評価証明書

訪問査定時、媒介契約時に用意が間に合わなかった書類も、この時に一緒に持参しましょう。

印鑑証明書と実印

不動産の登記名義人(所有者)の印鑑証明書と、印鑑登録している実印が必須です。

共有で所有している不動産の場合は、共有者全員分の印鑑証明書と実印が必要になります。また、この登記申請に使う印鑑証明書には発行後3ヶ月以内という有効期限があります。

具体例をあげましょう。

印鑑証明書の発行日が「10月13日」

(1)初日は不算入のため、翌日から起算しますので「起算日は10月14日」

(2)10月14日の3ヶ月後の応当日は「1月14日」

(3)その前日の24時で有効期限は満了するので満了日は「1月13日」

【原則】10月13日発行 → 1月13日の引き渡し(申請)まで有効

ただし、1月13日が土日や祝日で法務局が休みの場合は1月14日までが有効期限となります。

1月14日も法務局がお休みの場合は翌営業日が満了日となります。

印鑑証明書と実印はなぜ必要?

不動産は重要な資産です。

そのため売主の「本当に売っても良い」という意思表示の証として印鑑証明書と実印が必要です。

虚偽の申請ではないことを証明するために、印鑑証明書は法務局に提出します。

印鑑証明書の取得方法

役所での取得の他、マイナンバーカードがあれば、コンビニに設置された自動交付機能のついた端末で取得ができます。

出典:コンビニ交付|日光市

固定資産税評価証明書

土地・建物の固定資産税評価額が記載された証明書で必須の書類になります。

固定資産税か課税されない土地でも、固定資産税評価証明書は必要です。

売買対象のすべての土地・建物の評価証明書が必要になることに注意しましょう。

固定資産税評価証明書はなぜ必要?

売主から買主への名義変更登記(所有権移転登記)を申請する際には、登録免許税を納付します。

この登録免許税の額を算出するために固定資産税評価証明書が必要です。

また、登記申請時には、原則として固定資産税評価証明書を提出しなくてはなりません。

固定資産税評価証明書の取得方法

不動産の所在の市区町村役場で発行可能です。具体的には、役所の税務課や、固定資産税課で発行してもらえることが一般的です。

また東京都の場合は都税事務所で入手可能です。

実務上は、不動産仲介業者が代理で取得してくれることが少なくありませんので、相談してみましょう。

毎年4月1日になると、最新年度の固定資産税評価証明書が発行可能になります。登記申請時には、最新版の証明書が必要になるため、年度をまたぐ際には注意が必要です。

引き渡し時に必要な書類と取得方法等

引き渡し時に必要な書類には主に次の書類があります。

  • 権利済登記済証・登記識別情報の原本
  • 印鑑証明書と実印
  • 本人確認書類
  • ケースによって住民票・戸籍の附票
  • ケースによって戸籍謄本+本籍地入りの住民票
  • 預金通帳
  • ケースにより抵当権抹消書類代理委任状
  • 住宅ローンの残債額がわかるもの

引き渡し日は、確定申告をのぞく全ての手続きが完了する日です。

この日に書類を忘れてしまうと、後から持って行くということはできませんので、必ず忘れないようにチェックをしましょう。

登記済権利証・登記識別情報の原本

以前にも何度か登場している登記済権利証・登記識別情報の原本が必須になります。

引き渡し日に忘れてしまうと、その場で取りに帰らなくてはなりませんので、引き渡しに向かう前に再確認しましょう。

印鑑証明書と実印

印鑑証明書と実印も何度か登場していますが、引き渡しには必須の持ち物になります。

印鑑証明書の有効期限が切れていないか、印鑑は実印に間違いないかを再確認しておきましょう。

住民票または戸籍の附票

登記事項証明書に記載された所有者の住所と、現在の住民登録している住所が異なる場合には住民票または、戸籍の附票が必須書類になります。

住民票・戸籍の附票はなぜ必要?

登記事項証明書に記載されている売主が、住所を移転している場合には、登記上の住所を最新の住所に変更する必要があるためです。

引越し回数によってどちらかを提出

登記事項証明書に記載された住所が、最新の住所と異なる場合には住民票か戸籍の附票が必要です。

どちらの書類が必要になるかは、引越しの回数(住民登録を何度変えたか)によります。

登記事項証明書に記載された住所から、1回の引越しで現在の住所に住民登録している場合は住民票が必要です。

2回以上の引越しをしている場合には、戸籍の附票が必要になります。

またどちらの書類も法務局に提出しますが、有効期限はありません。

住民票・戸籍の附票の取得方法

住民票は住所地の市区町村役場、戸籍の附票は本籍地の市区町村役場で取得ができます。

郵送請求にも対応しており、市区町村によっては、戸籍の附票もコンビニの端末で取得できるサービスを提供しています。

コンビニ交付サイトで、ご自身の住所地(住民票)、本籍地(戸籍の附票)の役所がコンビニ交付に対応しているか確認してみましょう。

本人確認書類(身分証明書)

ここまでにも登場している本人確認書類(身分証明書)は引き渡し時に必須です。

登記申請の前提として司法書士の本人確認が行われますが、その際に提示が必要になります。

有効期限内の本人確認書類を必ず持参しましょう。

戸籍謄本+本籍地の記載のある住民票

登記事項証明書に記載された所有者の氏名が、結婚や離婚などで変わっている場合には、戸籍謄本と本籍地入りの住民票が必要になります。

戸籍謄本と住民票の有効期限は?

引き渡し時(登記申請時)に必要な戸籍謄本と住民票には有効期限はありません。

ただし、あまりに古いものよりは、数ヶ月程度前までのものを提出することをおすすめします。

戸籍謄本+本籍地の記載のある住民票の取得方法

戸籍謄本は本籍地の市区町村役場、本籍地入りの住民票は住所地の市区町村役場で取得できます。

郵送での請求も可能ですし、市区町村によってはコンビニの専用端末での取得が可能です。

こちらの交付サイトでどの市区町村が対応しているか確認できます。

預金通帳

売買代金の振込先となる金融機関の預金通帳を持参します。

住宅ローンを利用している場合には、いつも住宅ローンが引き落とされる口座の預金通帳が必要です。

預金通帳はなぜ必要?

買主からの売買代金の振込先確認のために必要になります。

また、高額な売買代金がきちんと振込みされ、着金したことを確認するためにも預金通帳の記帳を行いますので、忘れずに持参します。

ネットバンクを利用している場合

ネットバンクを利用している場合には、必ず事前にログインできるかの確認をしておきます。

引き渡し時にログインができなくなると、スムーズな引き渡しができなくなりますので、注意しましょう。

抵当権抹消書類代理受領の委任状

住宅ローンを利用している場合、金融機関より抵当権抹消書類代理委任状を渡されることがあります。

金融機関によって渡されないこともありますが、渡された場合には持参必須の書類です。

「抹消書類受渡書」と呼ぶ金融機関もあります。

抵当権抹消書類代理受領の委任状はなぜ必要?

住宅ローンを利用している場合は、引き渡しが終わり次第、司法書士が金融機関に抵当権を消すための書類を預かりにいきます。

その際に、本人から委任を受けて代理で受領する権限があることを示すために、抵当権抹消書類代理委任状が必要なのです。

抵当権抹消書類代理受領の委任状の取得方法

住宅ローン完済手続きを事前にして引き渡し日を迎えますが、その手続きの際に渡されることが多いでしょう。

ただし、金融機関によっては郵送で送られてくることもあります。万が一、紛失してしまった場合は金融機関に相談をします。

特別なケース別の必要書類

最近では、海外居住の方が日本の不動産を売るケースや、成年後見人が不動産を売るケースも少なくありません。

基本的な必要書類は上記で説明した書類と同じなので割愛しますが、特別に必要になる書類をピックアップして解説します。

会社が不動産売却をするケース

会社(法人)が不動産を売るケースでは、通常の個人が売却するときの書類に加え、以下の書類が必要になります。

会社の実印

会社が売主となる場合には、法務局に届出している会社の実印が必要です。

逆に代表取締役個人の印鑑は不要ですのでご注意ください。

会社の印鑑証明書

会社が不動産を売る場合、印鑑証明書は会社の印鑑証明書が必要です。

会社の印鑑証明書は、全国の法務局で発行可能ですが、その際には会社の印鑑カードと代表取締役の生年月日が必要になりますので、ご注意ください。

会社の登記事項証明書

会社の登記事項証明書は、今は法務局に提出することは稀ですが司法書士の書類作成、会社の確認のために必要です。

取得は全国のどこの法務局でも取得可能です

担当者の本人確認書類

不動産売却を代表者が担当する場合には、代表者の本人確認書類(免許証・パスポート・マイナンバーカード等)が必要です。

取引担当者が別にいる場合には、その取引担当者の本人確認書類が必要になります。

成年後見人が不動産を売却するケース

認知症などにより意思能力を喪失してしまった方の不動産を売却する場合には、成年後見制度を利用します。

成年後見人が本人に代わり、売却手続きを行います。成年後見人による不動産売却には以下のようにケースにより手続きと必要書類が変わります。

非居住用不動産を売却するケース

居住用不動産を売却するケース

上記のうち居住用不動産を売却する場合には、事前に成年後見人が家庭裁判所から許可を得る必要があります。

そしてこの家庭裁判所からの売却許可決定書が登記申請の際に必要になるのです。

成年後見人の印鑑証明書

売主本人の印鑑証明書の代わりに、成年後見人の印鑑証明書が必要です。

有効期限は通常の場合と同様に、作成後3ヵ月以内のものに限ります。

後見登記事項証明書または後見人の選任審判書

成年後見人であることを証明する後見登記事項証明書または後見人の選任審判書が必要です。

タイミング的には媒介契約時には用意されているのがベターです。

売却許可決定書(居住用不動産の場合)

売却する不動産が本人の自宅の場合には、家庭裁判所からの売却許可決定書が必要です。

こちらの書類は法務局での登記申請の際に、原本の提出が必須です。

後見監督人の同意書・印鑑証明書(後見監督人がいる場合)

後見監督人がいる場合には、後見監督人の同意書と印鑑証明書が必須です。

こちらも登記申請の際に法務局に提出します。

海外居住者(日本非居住者)のケース

海外に住む方が日本の不動産を売却する場合には、日本に住民票を残しているか、いないかで必要書類が異なります。

日本に住民票を残していない場合は、結構めんどうな手続きになります。

【日本に住民登録あり】印鑑証明書

日本に住民登録を残している場合は、印鑑証明書の取得が可能です。

3ヵ月以内に作成された印鑑証明書を持参しましょう。

【日本に住民登録なし】署名証明書

日本の住民登録を外している方は印鑑証明書は取得できません。

そのため、印鑑証明書に変わり「署名証明書(サイン証明書)」が必要です。署名証明書は、滞在国の日本大使館や日本領事館で取得します。

滞在国によりますが、即日で取得できないケースが少なくないためスケジュールに余裕をもって取得します。

【日本に住民登録なし】在留証明書

日本から住民登録を抜くと、最後の住所地の住民票除票や戸籍の附票には「〇年〇月アメリカ合衆国へ出国」等と記載されます。

しかし、日本の不動産の登記事項証明書には日本に住んでいた時の住所が記載されたままのため、これを最新の住所(居住国の住所)に変更する必要があります。

住民票が本来必要なのですが、住民登録がないため取得できないため、在留証明書を住民票の代わりとして用意します。

【日本に住民登録なし】住民票・戸籍の附票

先ほどの続きで、不動産の登記事項証明書を居住国の住所に変更するために住民票の除票や戸籍の附票が必要です。

住民票除票や戸籍の附票は、日本の住民登録を外しても取得できます。

【日本に住民登録なし】上申書

不動産登記事項証明書の住所を変更するための最後の書類として上申書が必要です。

戸籍の附票は先述したとおり「〇年〇月アメリカ合衆国へ出国」等のざっくりした内容ですし、居住国で取得する在留届にも日本の最後の住所が記載されていないため、住所の変遷を法務局に証明することができません。

証明ができないと、法務局は登記を進めてはくれません。

この住所の変遷の証明を助けるものとして上申書が必要になります。

上申書自体は司法書士が作成してくれるので、「何年の何月何日に日本を出国し、何月何日にどこに住んだ」という時系列を説明できるようにしておきましょう。

まとめ

 不動産を売却する時に必要になる書類を解説しました。

今回ご紹介した書類は代表的な書類になりますが、ケースによっては他にも必要書類が必要になることもあるため、ご自身のケースでは何が必要になるのかは担当の営業マンに確認することをおすすめします。

これから不動産売却を開始する方は、こちらの記事でおすすめの不動産一括査定サイトをご紹介しています。

最後に必要な書類とタイミングをおさらいしましょう。

用意に時間のかかる書類もあるため、余裕のあるときに書類を集めスムーズな不動産売却を実現しましょう。

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