不動産買取の必要書類は?取得方法と仲介との違いを解説!

書類を書く男性

「不動産買取に必要なものは?」

「普通の不動産売却と不動産買取の必要書類は違うの?」

不動産買取による売却に必要な書類は、通常の不動産売却時と比べてそれほど多くありません。

不動産買取ではどのような書類が必要なのか、またその書類の取得方法について解説しています。

本記事ではどのタイミングで書類を用意したらよいのかについても、4つのタイミングに分けて紹介しています。

✔不動産買取と不動産売却の必要書類の違い
✔不動産買取の机上査定に必要な書類
✔不動産買取の訪問査定時に必要な書類
✔不動産買取の売買契約時に必要な書類
✔不動産買取の引渡日に必要な書類

記事の後半には、登記がされていない未登記物件の買取りの可否についても解説します。

この記事を読んでいただければ、不動産買取のタイミングごとの必書類を把握でき、不動産買取のメリットであるスピーディーな取引・現金化を実現できるでしょう。

目次

不動産買取と不動産売却の必要書類の違い

不動産買取


不動産買取は不動産買取業者に不動産を買い取ってもらう形態の売却方法を意味します。

一方で不動産売却は一般的に、仲介会社によって個人の買主を探してもらい、個人に不動産を売ることを意味しています。

不動産買取による売却と、仲介による売却にはそれぞれ特徴がありますが、買主と必要書類に焦点を当てると次のような違いがあります。

スクロールできます
買主必要書類の違い
不動産買取不動産買取業者プロなので必要最低限の書類があれば売却可能
仲介個人
宅建業者以外の法人
証明書類が多い方が買主にアピールできる
買主は安心して取引できる

不動産買取は買主がプロの不動産業者なので、保証書類や証明書類は最低限でも取引が可能です。

もちろん、手元に多くの証明書類や保証書類があれば不動産買取でも重宝されるでしょう。

こういった点からみても、不動産買取による売却はシンプルで手間がかからないことがわかりますね。

不動産買取の必要書類

不動産買取に必要な書類を4つのタイミング別に紹介します。ひと通りの書類を紹介しますが、先述したとおり、全ての書類が揃っていなくても不動産買取では売却を進めることが可能です。

不足書類があれば、まずは買取業者に相談してみましょう。

机上査定に必要な書類

不動産買取の机上査定は、不動産買取の一括査定サイトを通じて複数の業者に依頼する人が多いため、一括査定サイトのリビンマッチで机上査定を依頼する場合を想定し説明します。

出典:不動産買取一括査定|リビンマッチ

机上査定に必要な書類
不動産の種別戸建マンション土地
登記事項証明書△ 

一括査定サイトのリビンマッチを利用し査定を依頼する場合には、物件の土地面積(地積)や建物の床面積、築年数などを依頼フォームに入力します。

不動産の概要が記載されている不動産登記事項証明書があると、入力がスムーズですね。

おおよその数字が分かっている場合には、あえてこのタイミングで不動産登記事項証明書を取得する必要はないでしょう。

出典:不動産買取査定申し込みフォーム|リビンマッチ

不動産買取の訪問査定時に必要な書類

作業服を着た人

つづいて不動産買取の訪問査定時に用意する書類を説明します。

不動産買取業者によって多少の違いがあり、なかには身分証明書と登記識別情報通知・権利証のみでよいとする業者も存在します。

訪問査定前にそれぞれ確認をしてください。ここでは代表的なものを紹介します。

【不動産買取の訪問査定時に必要な書類】











戸建 マンション 土地
登記識別情報
(登記済権利証)
不動産登記事項証明書
(謄本)
印鑑証明書と実印
本人確認書類
不動産登記事項証明書
(謄本)
公図
建物図面
各階平面図
×
地積測量図×
固定資産税評価証明書
固定資産税納税通知書
ローン残高証明書
※住宅ローン利用時
管理規約・使用細則
維持費関連の書類
××
土地測量図・境界確認書
越境の覚書等
×
建築確認済証・検査済証×
建築設計図・工事記録書×
購入当時の売買契約書
〇必要 △任意 ×不要

登記識別情報通知または登記済権利証

不動産購入時や相続時、不動産の名義人になった際に法務局から発行されます。以前は登記済権利証が発行されていましたが、平成17年3月より各法務局で順次「登記識別情報通知」に変更されました。

そのため不動産の登記を申請した時期により、登記済権利証か登記識別情報通知のどちらかが発行されています。

非常に大切な書類なので、早めに手元にあることを確認しておきましょう。

不動産登記事項証明書

不動産の概要(所在・地番・地積・家屋番号・種類・構造・床面積)と権利関係など登記内容が記載された証明書です。全国どこの法務局でも入手が可能です。

不動産登記事項証明書を取得する際は住所ではなく、土地の不動産登記事項証明書を取得する場合には所在・地番、建物の不動産登記事項証明書を取得する場合には、所在と家屋番号が必要になるため。調べてから請求をしましょう。

不動産買取業者が手配することも可能ですので、お任せできるか確認しましょう。

本人確認書類

訪問査定の際に免許証などの身分証明書は必須ではありませんが、不動産登記事項証明書と、身分証明書の氏名が同一であれば、売主本人であることがわかるため念のため用意しましょう。

売買契約・引渡しの際は必ず必要になります。

公図

土地の地番・位置・形状・接道などがわかる法的な図面で、全国どこの法務局でも取得できます。

不動産買取業者が手配可能なため、お任せできるか確認してみましょう。

出典:土地・建物の地図・図面|盛岡法務局

建物図面・各階平面図

建物の位置を表示している建物図面と、各階の形状を示した各階平面図は原則全国の法務局で取得できます。

一部、不動産を管轄する法務局でしか取得できない地域もあります。

またそもそも建物図面や各階平面図が存在しない建物もあります。

不動産買取業者も手配できるため、取得が必要か確認してみましょう。

出典:土地・建物の地図・図面|盛岡法務局

地積測量図

土地の測量結果を示した図面が地積測量図で、全国の法務局で取得が可能です。

しかし、全ての土地に地積測量図が存在するわけではありません。

その土地に地積測量図が存在する場合は、誰でも取得可能なため、不動産買取業者に手配をお願いしましょう。

出典:土地・建物の地図・図面|盛岡法務局

固定資産税評価証明書

不動産のある市区町村で発行可能です。

具体的には、役所の税務課や、固定資産税課で発行してもらえることが一般的です。東京都の場合は都税事務所に請求します。

手元に納税通知書がある場合、このタイミングでは納税通知書を用意しておけば大丈夫です。

納税通知書は毎年4~5月に市区町村から郵送で届きます。

ローン残高証明書

住宅ローンを利用中の不動産を売却する場合に、ローンの残債の状況確認のために用意します。

年に一度、10月~11月ごろ銀行より送られてきます。

紛失している場合は、銀行に再発行を依頼しましょう。

手続き後1週間程度で手元に届きます。

出典:証明書の発行|三井住友信託銀行

管理規約・使用細則・維持費関連の書類

マンションを売却する場合に用意をします。

紛失した場合には、管理会社に依頼すれば再発行が可能です。

一部手数料が必要なマンションもあります。

建築確認済証・検査済証

その建物が建築基準法に則り建築されたことを証明する書類です。

建築時に検査をし、建築基準関連規定に適合していれば検査済証が施主に交付されます。

もし紛失してしまった場合、役所で「台帳記載事項証明書」を発行してもらいましょう。

1通300円~400円程度です。

建築設計図・工事記録書

建物の設計を確認するための書類です。

構造や基礎について記録され、リフォームやリノベーション時に役立ちます。

耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書

建築基準法改正前に建築された建物は、新耐震基準を満たしていない可能性があるため、耐震診断報告書で安全性を確認します。

リフォームの契約書・報告書

リフォームを行った場合はその際の契約書や報告書を用意しましょう。

不動産買取業者がリフォーム、リノベーションを行う際に重宝します。

購入当時の売買契約書

購入当時の売買契約書は、当時の契約内容や金額を確認するため必要な書類です。

査定時に必須の書類ではありませんが、売却を進め最終的に利益が出た場合の確定申告時に必要になります。

時間の余裕のあるうちに売買契約書を探しておきましょう。

不動産買取契約時に必要な書類

不動産買取の契約時には、次の書類を用意しましょう。

不動産買取業者により、他にも必要な書類がでてくる可能性もありますので、確認をしてください。

ここでは代表的な書類を紹介します。



戸建マンション 土地
登記識別情報
(登記済権利証)
本人確認書類
実印
ローン残高証明書
※住宅ローン利用時

登記識別情報通知・登記済権利証

先述しましたが、訪問査定時にも用意していただいた登記識別情報通知または登記済権利証を念のため持参します。

不動産買取業者がコピーをとります。このコピーは引渡日に登記申請をする司法書士が事前にチェックし、確かに売却物件の登記識別情報通知・登記済権利証であることを確認します。

万が一紛失してしまった場合は、契約日~引渡日の間に、司法書士による面談が行われ、登記識別情報通知・権利証に代わる本人確認情報を作成してもらいます。

本人確認情報の費用は5万〜10万円程度です。

出典:高知県司法書士会

本人確認書類

免許証やマイナンバーカード、パスポート等の公的な証明書を持参します。

契約時には、保険証でも良いのですが、引渡日には顔写真入りの公的な身分証明書が必要です。

詳細は後ほど解説します。

実印

契約書に押印するために実印を持参します。

不動産買取業者によっては、売買契約書に押した印が実印であることを証明するため、別途印鑑証明書が必要になることもあります。

ローン残高証明書

住宅ローン利用時に必要な書類で、売却代金でローンの完済が可能なことを確認するために必要です。

また契約日には引渡日が決まることが一般的です。

ローン利用の銀行に「〇月〇日(引渡日)に全額繰り上げ返済したい」旨、連絡を入れます。

不動産買取の引渡日(決済日)の必要書類

鍵を渡す

不動産買取による売却の引渡日の必要書類は、忘れてはならない書類が中心です。

契約時に持参した書類を、引渡日にも持参するよう依頼されることがあります。

この点も不動産買取業者によく確認しましょう。





戸建 マンション 土地
本人確認書類
印鑑証明書と実印
住民票
戸籍の附票
銀行通帳
ローン残債のわかる書類
※住宅ローン利用時
×
不動産買取業者から
依頼された書類

登記識別情報通知・登記済権利証

今まで何度か登場した登記識別情報通知・登記済権利証は、引渡日に忘れずに持参します。

特に遠方の実家を売却するような場合に忘れてしまうと、最悪その日の引渡しができなくなる可能性もあります。

本人確認書類

引渡日に必要な本人確認書類は次のとおりです。

司法書士が本人確認をする際にこれらの身分証明書も確認します。

有効期限のあるものは期限内のものが必要なので、有効期限も忘れずに確認しましょう。

免許証
個人番号カード(有効な住基カードでも良い)
パスポート
乗員手帳(氏名・生年月日の記載のある船員手帳)
在留カード
特別永住者証明書
運転経歴証明書


上記の証明書がない場合は、他の書類を2点・3点併せて確認することでOKとなる場合があります。

事前に担当の司法書士または買取業者担当者に相談してください。

印鑑証明書と実印

印鑑証明書と印鑑登録している実印は、不動産登記に必要です。

こちらも忘れてしまうと引渡が進みません。

印鑑証明書には有効期限があり、引渡日以前3カ月以内に取得したものが必要です。

(例)10月10日 引渡日
7月11日以降に発行した印鑑証明書が必要
7月10日に発行した印鑑証明書は期限切れで使えないので注意!

住民票

登記簿に記載された住所(登記された住所)から住民登録を変えている場合には、新しい住所の住民票が必要です。

この住民票を使い、登記簿の住所を現在の住所へ変更するために使用します。

戸籍の附票

登記簿に記載された住所から1回住所が変わっている場合は先述した住民票があれば事はたります。

しかし、登記簿に記載されている住所から、2回以上住所が変わっている場合には、住民票では足らず戸籍の附票が必要です。

戸籍の附票には、住所を動かした遍歴が記載されており、本籍地の役所で発行できる書類です。

本籍地が遠方の場合、戸籍の附票を取得するのに時間がかかるので早めに請求しなくてはなりません。

戸籍の請求が難しい場合は、早めに買取業者の担当者に相談し、司法書士に代理で取得してもらいましょう。

銀行通帳

引渡日に不動産売却代金が振り込まれます。振込先の口座確認と、きちんと売却代金が振り込まれたことを確認するために銀行通帳を持参します。

ネット銀行を使う場合には、ネット銀行のログインID・パスワードが間違っていないか、きちんとログインできるかのチェックは必須です。

当日にログインできなくなるケースは意外に多く、私も決済現場で何度か遭遇しています。

特にネット銀行の住宅ローンを使っている場合にはログインできないと大惨事になります。

しっかり確認しましょう。

ローンの残債のわかる書類

住宅ローンの残債を当日完済するケースに必要な書類です。ローン利用のない人は読み飛ばしてください。

住宅ローンを引渡日の当日に完済する方法は2パターンあります。

これは銀行が指定してくるため、指定できません。

パターン①:普段、住宅ローンの返済をしている口座に残債相当額以上が入金されると勝手に引き落とされ完済される   パターン
パターン②:銀行の指定する口座に残債を振り込んで完済するパターン

②のパターンの時には残債と振込先がわかる書類が銀行から手元に届いているはずです。

この書類を忘れずに持参してください。

事前に銀行に完済予定の連絡を入れると、引渡し当日の残債の金額を計算をしてもらえます。

算出された残債額を当日振り込む必要があるため、残債金額が記載された書類(銀行から送付されたものなど)を持参してください。

不動産買取業者から指定された書類

その他、訪問査定時に用意した書類やその他の書類を不動産買取業者から指定されることもあります。

事前にしっかり確認して忘れないように準備をしましょう。

不動産買取の査定と不動産仲介の査定の違い

電卓で打診

不動産買取にも、不動産仲介にも査定サービスがあります。

同じ査定ではありますが、不動産買取の査定と仲介による売却の査定では意味合いがかなり変わります。

不動産買取の査定

不動産買取の査定は、査定額とイコールであることが多いです。

そのため、いかに高い査定額を出す不動産買取業者に巡り合えるかが鍵です。

つまり、より多くの買取業者から査定を受けることが少しでも高く売却する秘訣です。

不動産仲介の査定

仲介による売却の際の査定額は、その仲介業者が売れるであろうという金額を算出したものです。

より高い査定額を出した仲介業者に売却活動を依頼したくなるものですが、その査定額で売れる保証はありません。

またその心理を逆手にとってあえて高い査定額を出す仲介業者もいるため注意が必要です。

不動産買取のよくある質問

ミニチュアの家を持つ女性

最後に不動産買取に関するよく聞かれる質問にお答えします。

Q:登記がされていない未登記の建物は買取りできるのか?

A:古い家屋や、増改築された家屋の増改築部分が未登記のままになっていることは少なくありません。

買取り業者のなかには、そのままの状態で売買契約が可能な業者も存在するので、そういった買取り業者を探せば売買は可能です。

ちなみに、未登記物件を一般の個人の方に売るのは以下の理由から現実的には難しいでしょう。

  • 権利関係が公示されていないので、売主による2重売買の可能性や所有権をめぐってのトラブルが発生するリスクがある
  • 銀行融資(住宅ローン)が使えない
  • 現金で購入した場合でも、将来売却する際に売りにくい

Q:親の名義の不動産を代理で不動産買取できるか?

A:親御さん名義の不動産を代理で不動産買取で売却することは、次の条件を満たせば可能です。

  • 親御さんが不動産を売る意思があること
  • 親御さんが認知症などで判断ができない状態ではないこと
  • 親御さんから委任をうけていること

※①②については、最終的な引渡までの間に司法書士が親御さんへの本人確認と意思確認を行いその結果で判断されます。

Q:不動産買取をスムーズに進めるために注意する点は?

A:不動産買取は通常の不動産売却に比べ取引のスピードが早いです。

そのため、事前に必要書類を準備しておくことが大切です。

さらに相続で取得した物件を不動産買取で売却する場合は、相続登記を先に完了させておくことがスムーズに進めるコツです。

相続登記がまだの場合には、不動産買取業者に売買時に担当する司法書士を紹介してもらい同時進行で進めるとスムーズです。

売却予定がある不動産の場合には相続登記は自分で行わず、司法書士に任せることが一般的です。

Q:田舎の実家を相続したが、不動産買取業者の探し方は?

A:ご自身が住んでいないエリアの不動産業者、その中でも不動産買取業者を探すのはなかなか大変です。

そもそも不動産買取専門業者の数は、仲介業者の数に比べて圧倒的に少ないからです。

全国の不動産を買取り対象としている不動産買取業者を私が調べまとめました。

結果をこの記事で解説しています。

まとめ

不動産買取の代表的な書類をタイミングごとに紹介しました。

不動産買取は取引がスピーディーに進むのが特徴であり、おおきなメリットです。

この不動産買取のメリットを活かすためには事前の書類の準備が重要です。

必要書類の事前準備以外にも、不動産買取りをスムーズに完了させるための注意点があります。

次の記事では不動産買取の流れと、取引をスピーディーに進めるために知っておくべき落とし穴を元司法書士目線で解説しています。

必要書類の準備と併せて確認してくださいね。

不動産買取は一般的な仲介での売却と異なり、必要書類がさほど多くはありません。

今回紹介した書類がなくても買取査定は可能です。

不動産買取に必要な書類は各買取業者ごとに異なるため、査定依頼をした不動産買取業者に確認することが大切です。

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